青列車 (バレエ)

『青列車』（仏: Le Train Bleu）は、セルゲイ・ディアギレフ率いるバレエ・リュスによって1924年に初演された、1幕からなるダンス・オペレッタ（バレエ）であり、同作品のためにダリウス・ミヨーが作曲したバレエ音楽です。

概要

舞台は、当時最先端のヴァカンス地として知られた地中海沿岸のコート・ダジュールにある海水浴場。パリを含む北フランスとコート・ダジュールを結ぶ豪華夜行列車「青列車」が、作品のタイトルに採用されました。

『青列車』は、ジャン・コクトーが、バレエ・リュスのダンサー、アントン・ドーリンのアクロバティックな才能に着目し、彼の動きを最大限に活かすために企画されました。コクトーは以前にも『青い神』（1912年）、『パラード』（1917年）でバレエ・リュスの台本を手がけており、この企画をディアギレフに提案したことが、作品誕生のきっかけとなりました。音楽はダリウス・ミヨー、振付はブロニスラヴァ・ニジンスカ、衣装はココ・シャネル、美術はアンリ・ローランスが担当し、各界の才能が集結しました。

シャネルがデザインした衣装をはじめ、海水浴や日焼けオイル、フラッシュ付き小型カメラなど、当時の最新トレンドがふんだんに盛り込まれているのが特徴です。明確なストーリーラインは持たず、時代の空気感を反映した舞台となっています。

1924年6月20日、パリのシャンゼリゼ劇場におけるバレエ・リュスの公演で初演を迎えました。アンドレ・メサジェの指揮のもと、ニジンスカが手掛けたテニスや水泳の動きを取り入れた革新的な振付は、観客から高い評価を受け、作品は大成功を収めました。しかし、1925年にドーリンが退団すると、彼のパートを踊りこなせるダンサーがいなくなったため、惜しまれつつもバレエ・リュスのレパートリーから姿を消しました。

参考文献

* 芳賀直子『バレエ・リュス その魅力のすべて』国書刊行会、2009年

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