青塚古墳 (犬山市)

青塚古墳：古代の息吹を伝える巨大古墳

青塚古墳は、愛知県犬山市青塚に位置する、4世紀中葉（古墳時代前期）に築造されたと推定される前方後円墳です。この古墳は、愛知県内では断夫山古墳に次ぐ第2位の規模を誇り、国の史跡にも指定されています。古墳は、犬山扇状地を形成する洪積台地の南西端に築かれ、かつては周辺に十数基の古墳が存在し、青塚古墳群を構成していました。

古墳の構造

墳形は、前方部を南西に向ける前方後円形です。墳丘は、前方後円形の基壇の上に構築され、後円部が3段、前方部が2段に築かれています。墳丘長は約123メートルに及び、その規模は圧巻です。墳丘の表面には、河原石の葺石が敷き詰められ、各段には壺形埴輪が列をなしています。また、前方部の上には方形壇状の遺構があり、その周囲には円筒埴輪が配置されているのが特徴です。古墳の周囲には、不定形な盾形の周濠と外堤が巡らされており、その規模の大きさを物語っています。

歴史と発掘調査

青塚古墳は、古墳時代前期の4世紀中葉頃に築造されたと考えられています。被葬者は明らかではありませんが、大縣神社では、古くから邇波県君の祖である大荒田命の墓であると伝承されています。この伝承に基づき、現在も大縣神社によって祭祀が行われています。古墳は、1983年に国の史跡に指定され、1979年以降には発掘調査が実施され、古墳の構造や出土品が明らかになりました。その後、史跡整備を経て、青塚古墳史跡公園として一般公開されています。

出土品

古墳からは、様々な種類の埴輪や石製品が出土しています。

壺形埴輪：墳丘の各段に約2メートル間隔で配置されており、胴長形としもぶくれ形の2種類があります。高さは約60-70センチメートル、口縁部径は約35センチメートルで、底部には円形孔が開けられ、表面には赤色顔料が塗られています。
円筒埴輪：前方部墳頂の方形壇状遺構の周囲に巡らされており、鰭付朝顔形埴輪と円筒埴輪の2種類があります。こちらも表面には赤色顔料が塗られています。
樽形埴輪：くびれ部や後円部墳頂に置かれたとされ、特殊な形状をしています。
鏃形石製品：前方部墳頂の方形壇状遺構から3点検出されており、緑色凝灰岩で作られています。祭祀用の非実用品で、長さは約6センチメートルです。

古墳の歴史的価値

青塚古墳は、その規模の大きさや構造の複雑さ、出土品の内容などから、古代の有力者の墳墓であったと考えられています。また、古墳の築造年代から、当時の政治や社会情勢を知る上で重要な手がかりとなります。古墳の周辺には、周濠や外堤が巡らされており、その構造は当時の技術力を示すものと言えるでしょう。

現在の姿

現在、青塚古墳は史跡公園として整備され、一般公開されています。公園内には、古墳のガイダンス施設「まほらの館」があり、古墳の歴史や出土品について学ぶことができます。また、古墳の墳丘に登ることも可能で、その巨大さを肌で感じることができます。青塚古墳は、歴史と文化に触れることができる貴重な場所として、多くの人々に親しまれています。

墳丘の詳細

墳丘長：約123メートル
後円部
直径：約78メートル
高さ：約12メートル
前方部
長さ：約45メートル
幅：約62メートル
高さ：約7メートル
くびれ部
幅：約43メートル

前方部墳頂には、東西9メートル、南北7メートル、高さ約0.5メートルの方形壇状遺構が認められます。この遺構の周囲には、河原石や割石が配され、円筒埴輪列が巡らされています。

遺跡としての歴史

天正12年（1584年）：小牧・長久手の戦いの際に、青塚砦として利用されました。
1966年（昭和41年）5月：犬山市指定史跡に指定されました。
1979年（昭和54年）：圃場整備事業に伴い、発掘調査が行われました。
1983年（昭和58年）2月8日：国の史跡に指定されました。
1995年～1998年（平成7年～10年）：史跡整備に伴う発掘調査が実施されました。
1996年～2000年（平成8年～12年）：史跡公園として整備されました。
2000年（平成12年）8月5日：青塚古墳史跡公園が開園しました。

文化財情報

国の史跡
青塚古墳：所有者は大縣神社。1983年（昭和58年）2月8日指定。

現地情報

所在地：愛知県犬山市字青塚（青塚古墳史跡公園内）
交通アクセス：名鉄小牧線 楽田駅下車、徒歩約30分。
関連施設：青塚古墳ガイダンス施設「まほらの館」（犬山市青塚）
開館時間：午前9時 - 午後5時
休館日：毎週月曜日、年末年始


青塚古墳は、古代の歴史と文化を今に伝える貴重な遺産です。ぜひ一度訪れて、その壮大な姿を体感してみてください。

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