青山拓央

青山 拓央

概要

青山 拓央（あおやま たくお）氏は、1975年に生まれた日本の哲学者です。主な研究対象は、分析哲学、時間論、心の哲学、そして心と身体の関係に関する心身問題など、現代哲学における重要なテーマです。現在、京都大学大学院人間・環境学研究科の教授として、教育研究活動に携わっています。

経歴

埼玉県立浦和高等学校を卒業後、千葉大学文学部行動科学科に進み、2001年に卒業しました。さらに学問を深めるため、同大学大学院社会文化科学研究科哲学専攻の博士課程に進学。2006年には単位を取得し満期退学しました。千葉大学在学中および大学院では、哲学者の永井均氏に師事し、その薫陶を受けました。

大学院修了後は、日本学術振興会の特別研究員として研究活動を継続しました。その後、2014年には山口大学時間学研究所の准教授に着任し、時間に関する哲学的な探究を進めました。この期間中、2016年には慶應義塾大学より博士（哲学）の学位を取得しています。

2017年には京都大学に移籍し、大学院人間・環境学研究科の准教授となりました。共生人間学専攻思想文化論講座の人間存在論分野で、人間存在に関わる深い哲学的な問題に取り組むことになります。そして2023年、同研究科の教授に昇任し、現在に至ります。

業績

青山氏の研究活動は高く評価されており、いくつかの賞を受賞しています。

日本科学哲学会第1回石本賞（2006年）: 若手研究者を対象とした賞を受賞しました。
文部科学大臣表彰科学技術賞（理解増進部門、2011年）: 研究グループの一員として、科学技術に関する国民の理解増進に貢献した功績が認められました。

著作活動

分析哲学、時間論、心の哲学といった専門分野を中心に、多数の単著や共著、翻訳書を出版しており、学術界だけでなく、一般読者にも哲学的な思考を届けています。

単著

『タイムトラベルの哲学 - 「なぜ今だけが存在するのか」「過去の自分を殺せるか」』（講談社SOPHIA BOOKS、2002年、新版：ちくま文庫、2011年）: 時間旅行というSF的なテーマを通して、時間の本質や哲学的な問題を分かりやすく解説した初期の代表作です。
『分析哲学講義』（ちくま新書、2012年）: 現代哲学の主要な流れである分析哲学のエッセンスを講義形式でまとめた書籍です。
『幸福はなぜ哲学の問題になるのか』（太田出版、2016年）: 古代から現代に至る幸福論を哲学的に考察しています。
『時間と自由意志 - 自由は存在するか』（筑摩書房、2016年）: 時間の性質と、人間が持つとされる自由意志との関係を深く掘り下げています。
『心にとって時間とは何か』（講談社現代新書、2019年）: 心理的な時間の感覚や、心が時間をどのように捉えるのかについて考察しています。
『哲学の問い』（ちくま新書、2024年）: 哲学が取り組む根本的な問いについて論じています。

これらの著作は、時間、心、存在、幸福、自由といった、人間が根源的に向き合うテーマを、分析哲学的な手法を用いつつ、分かりやすく解説している点が特徴です。特に時間論に関する著作は多岐にわたります。

共著

『時間学概論』（山口大学時間学研究所編、辻正二監修、恒星社厚生閣、2008年）: 時間学という学際的な分野の概論に寄稿しています。
『〈私〉の哲学を哲学する』（永井均, 上野修, 入不二基義共著、講談社、2010年）: 師である永井均氏や他の哲学者と共に、「私」という問題について論じています。
『哲楽 第6号』（MIDアカデミックプロモーションズ、2014年）: 哲学をより身近に感じてもらうことを目指した書籍シリーズに寄稿しています。

翻訳

『現代形而上学論文集』（柏端達也, 谷川卓共訳、勁草書房、2006年）: 海外の現代形而上学に関する重要な論文を邦訳し、日本の哲学研究に貢献しています。

現代哲学における貢献

青山氏は、時間論や心の哲学といった複雑な問題を、緻密な論理構成が特徴である分析哲学のアプローチを用いて探究することで、日本の哲学界に独自の視点を提供しています。特に、時間という物理学的な概念と、人間が経験する時間や意識との関連性についての考察は、その研究の中心的な柱の一つと言えます。学術的な研究活動に加え、新書や文庫といった形で一般向けの著作を多数発表しており、専門分野の知見を広く社会に伝えることにも力を入れています。その著作は、難解と思われがちな哲学のテーマを、平易な言葉で解説しているため、多くの読者にとって哲学への入り口となっています。

現在も京都大学で後進の指導にあたりながら、活発な研究・執筆活動を続けています。

外部リンク

青山氏に関する更なる情報は、以下のリンクから参照できます。

京都大学大学院人間・環境学研究科「青山拓央」
山口大学研究者総覧「青山拓央」
青山拓央 (@aoymtko) - X（旧Twitter）
青山拓央wiki（関連情報）

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