青斑核

青斑核（せいはんかく）

青斑核は、脳幹に位置するノルアドレナリン作動性ニューロンを含む神経核であり、モノアミン神経細胞の一部としてA6細胞群とも呼ばれています。この核は主に覚醒や注意、情動に密接に関連しています。

発見と命名

青斑核は18世紀にフェリックス・ヴィック・ダジールによって最初に発見されました。その名前はラテン語で「青い点」を意味し、周囲の脳組織に対して青色が浮かぶことに由来しています。この青色はノルアドレナリン神経細胞内に存在するメラニン顆粒によるもので、用語のスペルには古典的な「caeruleus」と現在一般的に使われる「coeruleus」があります。

解剖学的特徴

青斑核は橋上部背側および第4脳室の外側に位置し、様々な神経系と相互作用しています。具体的には、アセチルコリン、ドーパミン、ヒスタミン、セロトニンなど、異なる神経伝達物質を持つ他の神経核と連携しており、大脳皮質の覚醒状態の制御に寄与しています。また、ヒトの青斑核には22,000から51,000個のニューロンが含まれ、サイズは約31,000から60,000μ㎥です。

神経回路と機能

青斑核は、脊髄や脳幹、小脳、視床下部、扁桃体、大脳皮質などに広く投射しており、これらの領域との間で連携を図っています。この青斑核とそれに関わる部位をまとめてLC-NA systemと呼び、その機能は特に注意や覚醒に関連する活動をサポートします。青斑核からのノルアドレナリンは脳内の多くのニューロンを活性化させ、覚醒時に持続的に発射されることが確認されています。

ストレスと認知機能

青斑核はストレスに対する重要な役割も担っており、脳の交感神経反応を仲介します。ストレス状況下では、青斑核が活性化し、ノルアドレナリンを分泌します。これにより、前前頭皮質を介して認知機能が変化し、モチベーション向上や交感神経活動の増加が見られます。特にノルアドレナリンはストレス関連の反応において重要で、適切なレベルでの放出はワーキングメモリーの向上に寄与します。

疾患との関連

青斑核は多くの精神的および身体的疾患とも関連しています。例として、アルツハイマー病では最大70%のニューロンが失われ、これが病理的変化に関与しています。また、Rett症候群や自閉症では、青斑核経由のノルアドレナリン系の機能不全が指摘されています。さらに、ストレス関連の疾患や抑うつ症状においてもLCは重要な役割を果たしており、これに関連する治療薬の研究が進んでいます。

結論

青斑核は、その広範な神経接続とノルアドレナリンの分泌を通じて、覚醒、注意、情動、ストレス応答に関わる多様な機能を持っています。この神経核に関する研究は、脳の働きやさまざまな疾患の理解を進めるために重要です。

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