青春ロマンスシート 青草に坐す

映画『青春ロマンスシート 青草に坐す』の概要

『青春ロマンスシート 青草に坐す』は、1954年に公開された日本映画で、野村芳太郎の監督による作品です。この映画は、白川渥の小説『青草に坐す』を基にしており、主演に美空ひばりを迎え、松竹大船撮影所で制作されました。

脚本は沢村勉が手掛け、豊かな表現力と深い感情が描かれています。共演者には笠智衆、三宅邦子、桂木洋子などが名を連ね、それぞれのキャラクターが物語に厚みを加えています。特に、美空ひばりの演技は、視聴者の心をつかむ魅力があります。

あらすじ

物語は、船乗りの新庄啓作（演：笠智衆）とその妻文子（演：三宅邦子）、彼らの二人の子供、女子高校生の翠（演：美空ひばり）と中学生の誠（演：水原常春）、そして結婚に失敗して実家に戻ってきた啓作の妹節子（演：桂木洋子）が同居する家族の様子から始まります。

翠は同級生の戸川雄一（演：北龍二）と純粋な恋愛関係にあり、彼らの関係は初々しさに満ちています。そんなある日、テニスの試合に参加するため、翠と雄一は羽田信平（演：大木実）という英語教師に付き添われて大阪を訪れます。この旅の途中、神戸に立ち寄ることになりますが、そこで彼らは翠の父、啓作が浮気相手の小泉千代（演：水島光代）と会っていることを知らされます。

その後の出来事は、家族の秘密と誤解を交えながら展開します。翠は神戸の警察に保護され、啓作の浮気が原因で起こった一連の事件は修羅場と化しますが、彼女はその秘密を誰にも明かさないと決意します。自らの行動で家族の絆を守りたいという思いから、啓作も浮気相手との関係を断ち、家に帰ることを選びました。文子は啓作を温かく迎え入れ、家族の絆は改めて確認されます。

映画の終盤では、叔母の節子と羽田との新たな恋の兆しが見え始め、翠と雄一の関係も次第に成熟していく様子が描かれています。青春の一ページを切り取ったこの物語は、家族間の愛情や信頼、恋人同士の清らかな関係を力強く描き出しています。

スタッフ・キャスト

本作のスタッフには監督の野村芳太郎や脚本の沢村勉の他、多くの才能が集結しています。音楽を担当したのは黛敏郎、美術には梅田千代夫が名を連ねています。また、細やかな演出や撮影技術により、観客を作品の世界に引き込む力強い映像が展開されています。

キャストには、主演の美空ひばりをはじめ、笠智衆、三宅邦子、桂木洋子ら実力派が揃い、物語にリアリティと感情の深さをもたらしています。特に、各世代の俳優たちがそれぞれの役を全うすることで、映画全体にバランスと信憑性を与えています。

最終的に、『青春ロマンスシート 青草に坐す』は、青春の輝かしい一瞬や家族の愛情、恋の行く先を見つめ直すことができる作品となっています。

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