青柳種信

青柳種信の生涯

青柳種信（あおやぎ たねのぶ）は、江戸時代後期の国学者であり、福岡藩士として多岐にわたる活動を行いました。

生い立ちと学問への目覚め

明和3年（1766年）、筑前国福岡城下で生まれた種信は、幼少期から学問に励む環境にありました。父の度重なる遠方への赴任により、一時的に長浜九郎右衛門の元で学芸を学びました。父の隠居に伴い家督を継いだ後も、学問への探求心を失うことはありませんでした。

二度の江戸勤番と国学への傾倒

天明2年（1782年）に江戸詰となると、種信は侍講井土南山から左国史漢を学びました。また、村山新兵衛が開いた学舎で子弟の教育にも携わりました。南山と共に香取神宮や鹿島神宮などを巡る旅を通して見識を深め、この頃から国学への関心を強めていきました。帰国後、秋月藩の藩校で学ぶ傍ら、島井俊雄、田尻道足、細井三千代麿といった国学者たちと交流し、本居宣長の弟子である小篠道冲が長崎に向かったことを知ると、自ら長崎まで足を運びました。寛政元年（1789年）の二度目の江戸詰の際には、伊勢神宮に参詣し、松坂で本居宣長と直接会見を果たしました。江戸では、野田諸成、加藤千蔭、青木菅根、村田春海、山本季鷹、久志本織江など、多くの学者や文化人と交流しました。

国元での活躍と多岐にわたる業績

帰国後、種信は沖ノ島御番を命じられ、滞在中に『瀛津島防人日記』を著しました。また、長崎への赴任や普請役所での勤務も経験しました。文化元年（1804年）には香椎宮の修造にも携わりました。文化3年（1806年）には上京し、二条治孝に会見、上田百樹、村上潔夫、千家俊信などの学者とも親交を深めました。文化5年（1808年）には、フェートン号事件発生時に長崎で防備にあたり、文化7年（1810年）には清輸出用俵物の不正を調査し、その原因を突き止めるなど、行政面でも重要な役割を果たしました。文化9年（1812年）には、伊能忠敬測量隊の案内役を務め、『宗像宮略記』や『後漢金印略考』を贈り、その学識を高く評価されました。文化11年（1814年）には『続筑後風土記』編纂のための故実調査を行うなど、その学術的な業績は多岐にわたります。

晩年と死

天保5年（1834年）に病を患い、翌年に妻を亡くしたことが原因で自身も12月17日にこの世を去りました。当初は麁原山に葬られましたが、後に顕乗寺に移葬されました。その功績から大正5年（1916年）には従四位を贈られました。

青柳氏の系譜と家族

青柳氏は、筑前国早良郡平群郷飯盛三所神社で祭祀を司った大蔵氏流原田氏の子孫とも、壬生姓を称し平群郷田所職にあったとも言われています。種信の父である勝種は、青柳家の養子となり、種信の代で福岡藩鉄砲組先手となりました。母は岡村斉兵衛の娘で、兄は父の実家である井本家を継ぎました。妻との間に二男二女をもうけ、長男の種正と次男の種春は共に国学者として活躍しました。

子孫の足跡

次男の種春は、小田千次郎の次男である和一郎を養子に迎えました。その子孫は、明治時代に那珂郡下警固村に移り住み、地域社会に貢献しました。

著書

瀛津島防人日記
筑前国続風土記拾遺
宗像宮略記
後漢金印略考
* 筑後國一條原石人図考


青柳種信は、国学者としてだけでなく、藩士としても多方面で活躍し、その学識と行動力は後世に大きな影響を与えました。

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