青森県道28号岩崎西目屋弘前線
青森県道28号岩崎西目屋弘前線（白神ライン）について
青森県道28号岩崎西目屋弘前線は、西津軽郡深浦町から中津軽郡西目屋村を経由し、弘前市に至る主要地方道です。通称「白神ライン」として知られ、その名の通り、世界自然遺産である白神山地の山中を通過するルートとなっています。
概要
この県道は、深浦町岩崎で国道101号線から分岐し、笹内川に沿って東進します。白神山地を横断する区間は、かつて「弘西林道」として利用されていた道であり、現在も未舗装の悪路が残っています。特に、深浦町と鰺ヶ沢町でそれぞれ追良瀬川、赤石川の上流部にあたる谷越え、山越え区間は難所となっています。
歴史的背景
弘西林道は、旧岩崎村をはじめとする日本海側と弘前市間の物流を強化する目的で計画・建設されました。しかし、道路状況が悪く、経済効果も薄かったため、主要な交通手段としては、海沿いの国道101号線や、青森県道31号弘前鰺ヶ沢線が利用されています。
現状と課題
白神山地の世界遺産地域は通過しないものの、生活道路、幹線道路としての機能は低く、今後の整備計画は不透明です。また、津軽ダム建設に伴い、西目屋村の一部区間では付替工事が進められています。
過去には、小笠原諸島の登録を目指していた石原慎太郎元東京都知事が、白神山地を訪れた際、この県道の津軽峠付近にあるマザーツリーを視察し、「簡単には来られないから良い」と発言したことが知られています。
路線データ
- 深浦町西岩崎山 - 西目屋村暗門: 11月中旬から5月下旬
- 西目屋村暗門 - 西目屋村川原平: 11月下旬から4月下旬
歴史
沿革
- - 1981年7月25日: 青森県が県道岩崎西目屋弘前線として認定
- - 1993年5月11日: 建設省により主要地方道に指定
- - 2022年4月25日: 土砂崩れのため一部区間が通行止め（解除日未定）。
- - 2022年5月27日：冬季閉鎖区間のうち津軽峠～暗門間8.7kmの通行止めを5月30日以降も継続すると発表。
- - 2022年7月15日：津軽峠～暗門間8.7kmの冬季閉鎖解除（片側交互通行実施の上、夜間通行止めの条件付き）。
- - 2022年8月3日：大雨の影響で土砂崩れの恐れがあることから再び通行止め。
路線状況
岩崎地区から約12kmと、西目屋村の暗門大橋から弘前市までは舗装されていますが、約3分の2は未舗装の砂利道となっています。冬季は閉鎖され、通行可能な期間は限られています。2022年発生した土砂崩れによる通行止めは、未だに解除の見込みは立っていません。
重複区間
通過する自治体
- - 青森県
- 西津軽郡
- 深浦町
- 鯵ヶ沢町
- 中津軽郡
- 西目屋村
交差する道路
- - 国道101号（深浦町、起点）
- - 青森県道317号西目屋二ツ井線（西目屋村）
- - 鰺ヶ沢町道赤石渓流線（西目屋村）
- - 青森県道204号相馬常盤野線（西目屋村）
- - 青森県道129号関ケ平五代線（弘前市）
- - 青森県道126号久渡寺新寺町線（弘前市）
- - 青森県道3号弘前岳鰺ケ沢線（弘前市、終点）
周辺の観光・景観地
- - 白神展望所: 笹内川の原生林と白神岳、向白神岳の雄大な景色が楽しめます。
- - 名水「白神の水」: 林道沿いにある湧水。
- - 追良瀬大橋、赤石川大橋: それぞれ異なる時代に建設された橋で、独特な雰囲気を醸し出しています。赤石川大橋近くには駐車場と公衆トイレがあります。
- - 天狗峠: 向白神岳を望むことができ、白神山地のポスター撮影地としても知られています。駐車場があり、天狗岳登山への拠点にもなっています。
- - 奥赤石展望所駐車場: 舗装された駐車場があり、東屋やクマゲラのモニュメントが設置されています。
- - 乱岩の滝: 乱岩の森から流れ落ちる滝で、パイプから水を飲むことができます。
- - 津軽峠: ブナやナラ、トチノキの巨木が点在するトレッキングコースの出発点。近くには、かつて樹齢400年とも言われた「マザーツリー」がありましたが、2018年の台風で倒壊しました。弘前市からの路線バスが乗り入れています。
白神ラインは、その道程の険しさから、訪れる人々に白神山地の自然の厳しさと美しさを同時に感じさせる道と言えるでしょう。今後の道路整備と、安全な通行が確保されることが期待されます。
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