青葉昌幸

青葉昌幸

青葉 昌幸（あおば よしゆき）は、1942年6月16日に現在の埼玉県秩父市（旧大田村）で生まれた日本の元陸上競技選手であり、特にマラソンや中長距離種目の指導者として著名な人物である。氏名の「青」の字は、正式には「靑」の字体を用いるのが本来の表記である。

選手としての軌跡

埼玉県立秩父農工高等学校を卒業後、日本大学に進学した青葉氏は、選手としても顕著な成績を残した。日本大学在学中の1964年には、日本選手権の男子3000メートル障害で頂点に立ち、翌1965年の同大会では男子1500メートルを制するなど、日本のトップアスリートとして活躍した。

大東文化大学での指導者としての功績

大学卒業後は埼玉県庁に勤務したが、1967年（昭和42年）に大東文化大学陸上競技部の監督に就任し、長年にわたる指導者としてのキャリアを開始した。約40年に及ぶ大東文化大学での指導期間は、同大学陸上競技部が大学駅伝界の強豪としての地位を確立した黄金期と重なる。青葉監督のもと、チームは大学三大駅伝において輝かしい実績を重ねた。

特に全日本大学駅伝対校選手権大会では、1972年から1975年にかけて史上初の4連覇を達成したのをはじめ、合計7回の優勝に導いた。また、1990年（平成2年）には新設された出雲全日本大学選抜駅伝競走で優勝を果たしている。

そして、国民的な注目を集める東京箱根間往復大学駅伝競走（箱根駅伝）では、1975年・1976年（昭和50・51年）大会と、1990年・1991年（平成2・3年）大会の二度にわたりチームを連続優勝に導き、合計4回の総合優勝監督となった。これらの歴史的な成功を通じて、大久保初男、只隈伸也、奈良修、実井謙二郎といった日本を代表する優れた長距離ランナーを数多く育て上げた。

2000年からは大東文化大学陸上競技部の部長も兼任し、チームの更なる発展と運営強化に努めた。

大学陸上界への貢献とメディア活動

大東文化大学での指導に加え、青葉氏は日本の大学陸上競技界全体の発展にも尽力した。2007年から2016年3月まで関東学生陸上競技連盟の会長を務め、大学スポーツの振興と運営に貢献。2016年4月からは同連盟の名誉会長に就任し、長年にわたる経験に基づいた指導と助言を行った。

また、その豊富な競技知識と指導経験を活かし、テレビや雑誌などのメディアで陸上競技、特に駅伝競走の解説者としても活躍。競技の魅力や奥深さを一般視聴者や読者に伝え、陸上競技の普及・発展にも貢献した。

これらの長年の功績が称えられ、2020年には瑞宝中綬章を受章している。

母校での新たな挑戦

2020年6月には、かつて自身が選手として汗を流した母校である日本大学の陸上競技部駅伝監督に就任し、新たな指導の舞台に立った。しかし、この任期は比較的短く、翌2021年3月末をもって監督を退任した。

著作と影響

青葉昌幸氏の専門的な知識は、『陸上競技ビデオ全集 VOL.5「障害走2」』の監修という形でまとめられている。また、生島淳氏の著書『監督と大学駅伝』では、箱根駅伝への深い思い入れが「箱根駅伝は、日本の宝です」という言葉とともに紹介されている。

選手として、そして特に指導者として、青葉氏が日本の長距離界、とりわけ大学駅伝界に残した足跡と影響は極めて大きい。

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