静岡伝馬町プラザビル

静岡伝馬町プラザビルは、静岡市葵区伝馬町に位置する、地域の再開発事業によって整備された複合施設です。株式会社静岡伝馬町プラザが建物の管理・運営を担っており、1984年の竣工以来、様々な商業施設がその姿を変えながら営業を続けてきました。

商業施設の歴史

このビルの商業施設としての歴史は、1984年11月にユニーが新たなコンセプトで展開した「ライブアピタ静岡」が開業したことに始まります。地下1階から地上6階までのフロアを占める核テナントとして、地域住民に親しまれました。その後、商業施設の名称は1989年に「生活創庫アピタ静岡店」、そして1991年には「生活創庫静岡店」と変更されました。しかし、採算性の問題などから、惜しまれつつも2000年8月にユニーは同フロアから撤退しました。

生活創庫の撤退後、後継テナントの確保が難しい状況の中、建物の管理会社である株式会社静岡伝馬町プラザが、地権者をはじめとする関係者と協力し、自ら運営する商業施設を開業するという道を選びます。そして、撤退からわずか数ヶ月後の2000年10月、大型専門店が集まるビルとして「FIVE-J（ファイブ・ジェイ）」がオープンしました。FIVE-Jは地下1階から地上4階を商業フロアとし、マクドナルド、ABCマート、ムラサキスポーツ、ライトオン、カーサといった多様なテナントを擁していました。

FIVE-Jの時代には、2006年3月に地下1階に若者向けセレクトショップ「SHIBUYA109 DREAMS」が出店し、好調な営業を見せました。この成功と、周辺に立地するパルコや丸井といった有力な競合店舗との競争激化に対応するため、競争力強化の必要性が高まります。これを機に、株式会社東急モールズデベロップメントが商業フロア全体を借り受け、大規模な改装を実施。2007年10月、「SHIZUOKA109」として新たなスタートを切りました。SHIZUOKA109は地下1階から地上5階までを展開し、ファッション感度の高い若者向けのテナント構成となりました。なお、SHIBUYA109 DREAMSは2012年のフロア再編時にSHIZUOKA109の一般フロアに統合され、その名は消滅しています。しかし、インターネットショッピングの普及や、静岡市における若年層人口の減少といった時代の変化、そして商業環境の競争激化を受け、SHIZUOKA109もテコ入れが必要となり、2017年7月に営業を終了し、更なるリニューアルへと向かいます。

SHIZUOKA109の閉店後、全面的な改装を経て誕生したのが「静岡東急スクエア」です。2017年7月には地下1階の一部が先行して暫定営業を開始し、同年11月に全館がグランドオープンしました。ライフスタイル提案型の商業施設として期待されましたが、残念ながら2023年7月をもって営業を終えました。

現在、そしてこれから

静岡東急スクエア閉店後の2023年8月、再び株式会社静岡伝馬町プラザによる直営での商業施設運営が始まりました。「けやきプラザ静岡」として、段階的にフロアを開業させています。

現在の「けやきプラザ静岡」の主なテナント構成（暫定営業フロア）は以下の通りです。

地下1階: 既存の飲食店や雑貨店など（サイゼリヤ、韓ビニ、サンキューマートなど）
1階: 生活雑貨・バラエティショップ（ダイソー、スタンダードプロダクツ、スリーピー） - 2023年10月開業
2階: ディスカウントストア（ドン・キホーテ） - 2024年開業
3階: アミューズメント、カードショップ、リラクゼーション機器販売（サープラ静岡あそびタウン、バトロコ、ライフスピリッツ株式会社） - 2024年開業

現在、地下1階から地上3階までが暫定的に営業しており、今後、地上4階、5階の商業フロアも順次開業を目指し準備が進められています。

ビル全体の構成

伝馬町プラザビルは、商業フロア（けやきプラザ静岡など）だけでなく、複合的な機能を有しています。地上5階にはピラティススタジオ、6階には結婚式場、7階・8階にはビジネスホテル「ホテルクレスト浜松屋」が位置し、そして9階から11階にかけては住宅が配置されています。

補足

かつてこのビルに入居していたユニーの「アピタ」は、一度は名称が消えましたが、別の場所（セントラルスクエア静岡）に「アピタ静岡店」として復活した時期がありました（ただし、こちらも2025年3月に閉店予定です）。また、伝馬町プラザビルの東側搬入口には、今なお「FIVE-J」時代のロゴが残されており、このビルの長い歴史の一端を伝えています。

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