静岡幹線工事局

静岡幹線工事局：東海道新幹線建設の要

静岡幹線工事局は、東海道新幹線の建設プロジェクトにおいて、静岡県内の区間を担当した日本国有[[鉄道]]（国鉄）の工事局です。1959年12月16日に発足し、東海道新幹線の開業後の1964年11月30日にその役割を終えました。略称は「静幹工」と呼ばれていました。

概要

1959年3月、東海道新幹線計画に必要な予算が国会で承認され、同年4月には東京・大阪間の線路増設工事が認可されました。そして、4月20日に全線で起工式が行われ、新幹線建設が本格的にスタートしました。

静岡幹線工事局は、この一大プロジェクトの中で、静岡県内の新幹線建設工事を一手に担う組織として設立されました。具体的には、神奈川県小田原市根府川付近から静岡県湖西市新所原付近までの約179.699kmを担当しました。ただし、小田原から湯河原までのトンネル区間は東京幹線工事局に委託されたため、実質的な担当区間は約176.409kmでした。

この区間は、東京・大阪間の全区間約515kmのおよそ3分の1に相当し、各工事局の中で最も長い距離でした。また、橋梁とトンネルの比率が高く、橋梁の総延長は約40km、トンネルの総延長は約60kmにも及びました。これらの構造物を建設するため、高度な技術と多くの労力が投入されました。

担当区間には、富士川橋梁、大井川橋梁、天竜川橋梁といった長大橋梁や、新丹那トンネル、南郷山トンネル、蒲原トンネルなどの長大トンネルが含まれていました。また、熱海駅、静岡駅、浜松駅といった新幹線駅の建設も担当しました。

用地取得も重要な業務の一つでした。戦前の弾丸列車計画で既に取得されていた約66万平方メートルの用地の返還交渉を行うとともに、新たに約336万平方メートルの用地を取得する必要がありました。用地買収は難航し、最終的には土地収用法に頼らざるを得ないケースも存在しました。

局長

静岡幹線工事局の局長は以下の通りです。

初代局長：坂本貞夫（1959年12月16日～）
二代局長：杉田安衛（1963年～1964年11月30日）

管轄

静岡幹線工事局が担当した主な工事区間は以下の通りです。

南郷山トンネル
新崎川橋梁
城堀トンネル
千歳川橋梁
泉越トンネル
熱海トンネル
新丹那トンネル
函南トンネル
観音松トンネル
柳沢橋梁
江尾橋梁
富士川橋梁
蒲原トンネル
由比トンネル
興津トンネル
安倍川橋梁
日本坂トンネル
大井川橋梁
第1高尾山トンネル
牧の原トンネル
天竜川橋梁
第3浜名橋梁

これらの区間において、路盤、橋梁、トンネル、駅などの建設工事が行われました。

東海道新幹線工事誌

静岡幹線工事局では、工事の記録として『東海道新幹線工事誌』を編集・発行しました。この工事誌には、工事の概要、用地取得、工事の進捗、路盤、橋梁、トンネル、駅、軌道、電化など、多岐にわたる情報が詳細に記録されています。工事誌は非売品であり、関係者のみに配布されました。

工事誌の構成は以下の通りです。

第1編 総説
第2編 用地
第3編 工事経過
第4編 路盤工事
第5編 橋りょう
第6編 ずい道
第7編 停車場
第8編 軌道工事
第9編 電化工事
第10編 職員名簿

まとめ

静岡幹線工事局は、東海道新幹線の建設において、重要な役割を果たしました。静岡県内の難所を克服し、数々の構造物を建設することで、日本の高度経済成長に大きく貢献しました。その技術と経験は、後の新幹線建設にも活かされました。

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