非常特別税

非常特別税とは

非常特別税は、日露戦争の戦費を調達するために、第1次桂内閣によって導入された臨時の増税措置です。この税は、2度にわたって実施され、日本の財政に大きな影響を与えました。

導入の背景

日露戦争開戦時、日本政府は財政難に直面していました。そのため、戦費を捻出するために、既存の税率を引き上げるとともに、新たな税を導入する必要に迫られました。こうして、非常特別税が創設されることになりました。

2度にわたる実施

非常特別税は、1904年4月1日と1905年1月1日の2回に分けて実施されました。

第1次（1904年4月1日）: 地租、営業税、所得税、酒造税などの既存税率が引き上げられました。また、新たに毛織物消費税、石油消費税が導入され、煙草が専売制となりました。
第2次（1905年1月1日）: 相続税、通行税、織物消費税が新たに導入され、塩の専売制が開始されました。既存の税率引き上げと合わせ、国民生活に大きな負担を強いることになりました。

恒久税化とその後

当初、非常特別税は日露戦争の終結、具体的にはポーツマス条約締結の翌年末である1906年12月31日をもって廃止される予定でした。しかし、政府は開戦以前からの財政難を理由に、1906年3月に廃止規定を削除し、恒久税化を決定しました。これにより、国民からは強い反発が起こりました。

その後、世論の反発を受けて、政府は1908年と1910年に税目の整理や減税措置を実施しましたが、その多くは1913年5月1日の法令廃止後も一般の税制に組み込まれて継続されました。これは、非常特別税が日本の税制に大きな影響を与えたことを示しています。

非常特別税の影響

非常特別税は、日露戦争の戦費調達に大きく貢献しましたが、同時に国民に大きな負担を強いるものでもありました。また、その後の日本の税制にも影響を与え、現在の税制を考える上でも重要な歴史的出来事と言えるでしょう。

このように、非常特別税は、日露戦争という非常事態に対応するために導入された税制であり、その後の日本の税制や社会に大きな影響を与えた出来事でした。

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