通行税

通行税とは

通行税とは、特定の交通路や交通機関を通行する際に課される税金のことを指します。

ヨーロッパにおける通行税

エーレスンド海峡通行税

1397年、カルマル同盟によりノルウェー、スウェーデン、デンマークの王となったエーリク7世は、1426年からエーレスンド海峡を通航する船舶に対して通行税を課しました。このエーレスンド海峡通行税は、1857年のコペンハーゲン条約によって周辺国から約6,000万クローネの補償金を得て廃止されるまで、デンマークの財政を大きく支えました。

日本における通行税

江戸時代の関銭

江戸時代には、関所において関銭という通行税が課されていました。しかし、明治維新後の1869年（明治2年）に明治政府が旧来の関所を廃止したため、関銭も廃止されました。

通行税法の制定と変遷

日露戦争の戦費調達を目的として、1905年（明治38年）に非常特別税として旅客に課税されたのが、近代における通行税の始まりです。この税は1924年（大正13年）に一度廃止されましたが、日中戦争の開始に伴い1938年（昭和13年）4月に復活しました。

通行税法（昭和15年法律43号）に基づく通行税は、主に上位クラスの座席や寝台、船室設備（グリーン車やA寝台車など）の料金、航空運賃に対して10〜20%が課税され、料金に上乗せされていました。これは、いわゆる贅沢品に対する物品税と同様の性質を持っていました。

1989年（平成元年）4月1日の消費税導入に伴い、物品税とともに通行税は廃止されました。

その他の通行税類似の事例

国際観光旅客税

2019年（平成31年）1月以降、日本から出国する旅客には、出国1回につき1,000円の国際観光旅客税が課されています。これは、観光振興を目的とした税金であり、通行税とは性質が異なりますが、交通機関の利用に関連して課される税金という点で共通しています。

東海道新幹線「のぞみ」に対する通行税構想

元静岡県知事の石川嘉延が、東海道新幹線「のぞみ」に対する通行税（地方税）の課税を検討したことがありますが、実現には至りませんでした。

関西国際空港連絡橋の利用税

関西国際空港連絡橋が国道に指定された際、泉佐野市に固定資産税が納付されなくなることから、利用税として利用者から徴収されています。これも通行税とは異なりますが、特定の交通インフラの利用に対して課される税金の一例です。

このように、通行税は時代や地域によって様々な形で存在し、その目的や性質も異なっています。

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