面 (朝鮮)

面（ミョン）についての詳細

面（ミョン）は、韓国における行政区画であり、基礎自治体としての役割を担っています。この区分は、日本における「村」に相当すると考えられています。現在の韓国では、郡や市という上位の行政区分の下に位置し、自治権を持たない特性があります。

現在の制度

面は、大韓民国の行政区分の中で、郡・市のもとに置かれています。面には面事務所が設置されており、その責任者として「面長」がいます。また、面の下には里と呼ばれる小さい行政区画があります。このように、面は地方自治団体の業務を遂行するためのキーとなる単位ですが、自治権を持たないため、上位の郡や市からの指導を受ける形となっています。

歴史的背景

面の起源は、朝鮮王朝時代にまで遡ります。当時の面は、複数の集落や村をまとめる行政単位として機能していました。面の名称は、地方官庁からの方角によって決定され、今でもその名残があります。たとえば、「北面」や「南面」といった呼称はこの制度に由来します。また、一部の地域では「坊」や「社」という名称が使われることもありました。

面は、16世紀頃から徴税などの機能を持つようになり、本格的な行政区画としての役割が始まりました。ここで、地主や有力者であった両班層が地域のリーダーとして関与するようになり、様々な称号を持つ地域指導者が存在しました。

1895年の甲午改革において、地区ごとに公共事務の機関が新たに編成されることになり、面も「面会」として位置づけられました。この時から面長や集落の代表者が選ばれるようになり、当時の両班層の支配を脱却し地域の自治の形が模索されるようになりましたが、1896年の段階でこの試みは挫折しました。

その後、1906年には韓国統監府による改正が行われ、道・郡・面という新たな行政体制が整えられました。この時、各地域の名は「面」に統一され、徴税機能を担うために行政機構が整えられました。

日本の統治下では、面は独自の行政区分として残り、大韓帝国の地方制度を引き継いだ形になりました。特に、1910年の韓国併合以降は、全土に4322面が設置され、面長は日本から任命されるようになりました。1917年には面制が制定され、面は正式に基礎自治体としての地位を持つようになりました。しかし、1930年代になると邑面制が導入され、面は邑の下位区分として整理されました。

現代の状況

1949年の地方自治法の制定によって、面は正式に市や邑とともに基礎自治体として認識され、面議会が設置されました。しかし、1960年代に入ると、軍事クーデターの影響により自治が停止され、面長は再び郡守からの任命制となりました。

一方、朝鮮民主主義人民共和国では、行政区分が改編され、面は廃止されてしまいました。現在では、郡や市が直接下部行政区画を統括する形をとっています。

このように、面は長い歴史を持ちながら、時代ごとの制度変革によってその役割や構造が変わってきた行政区画であり、韓国の地方行政に密接に関連しています。

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