靳雲鵬

靳 雲鵬（きん うんほう）

靳雲鵬は、清末及び中華民国時代に活躍した軍人・政治家であり、彼の人生は多くの転機と政治的な葛藤に彩られています。彼はあの時代の北京政府および安徽派の有力な軍人として、段祺瑞の下で重要な役割を果たしました。靳雲鵬の号は「翼清」で、彼の弟である靳雲鶚も同じく軍人としての道を歩みました。

幼少期と初期の生活

靳雲鵬は山東省の兗州府にある鄒県の苗荘村に生まれます。幼少の頃、彼は父を亡くし、弟とともに水を売る生活を送っていました。運送業にも従事しながら生計を立てる中で、多くの苦労を経て18歳の時、家族は避難を余儀なくされました。母と弟と共に夜逃げをし、済南に辿り着いた後、染色業を営むようになります。彼の右眼が外斜視であったため、「斜眼染匠」としても知られ親しまれました。

軍キャリアの始まり

靳雲鵬は後に天津武備学堂を卒業し、北洋常備軍の軍政司参謀処での職務を経て、雲南省にて新軍督練公所の総参議に任命されました。1911年に武昌起義が発生すると、彼は五華山において数個の営を率いて籠城しましたが、結局逃走を余儀なくされます。その後は、潘復と共に事業に専念しました。

政治の舞台へ

中華民国が成立した1912年には軍に復帰し、山東省にて北洋陸軍第5鎮の司令官として活動を開始します。徐々にその地位を高め、1913年には山東都督、1914年には泰武将軍に任命され、1915年には一等伯爵に封じられました。この頃、彼は袁世凱の即位をサポートし、政治的に重要な人物となりましたが、次第に権力の中心である段祺瑞との関係が複雑になっていきます。

1916年には「五将軍の密電」を通じて護国軍の撤退を求める動きがあり、靳雲鵬もその一員として活動しました。しかし、同年6月に袁世凱が亡くなると、彼は段祺瑞の配下として実権を握ります。

国務総理への就任とその後

靳雲鵬は1919年に国務総理兼陸軍総長に就任し、内政や外交の調整を図りました。彼は多派閥的な立場を取ろうと努力し、しかしながら政局は錯綜し、結果的には政治的圧力によって辞職することとなります。その後も彼は政治から離れ、天津のイギリス租界に移り、日本との合弁会社を設立して経済活動に従事しました。

晩年とその遺産

彼は1937年に中華民国臨時政府の最高首脳への野心が噂される中、故郷の山東省が日本軍に侵略されるという事態に反発しました。戦後、靳雲鵬は漢奸の罪に問われることはなく、晩年は仏門に入るなどし、1951年に天津で亡くなりました。このように靳雲鵬の人生は、政治と軍事の両面で中国の歴史に深く刻まれた存在でした。

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