韋瓘 (唐)

韋瓘についての考察

韋瓘（い かん）は、中唐時代の進士であり、文筆と政治において重要な役割を果たした人物です。彼の生涯や業績を通じて、当時の政治状況や文化的背景を理解する手助けとなるでしょう。彼の名前は「茂弘」という字でも知られており、出身地は京兆府杜陵県、現在の陝西省西安市の一部です。彼は韋正卿の子であり、韋珩の弟です。

生年は徳宗の貞元4年（788年）とされていますが、実際にはその翌年に生まれたと考えられています。韋瓘は19歳の頃、元和4年（809年）に状頭として進士に合格し、ここから彼の官僚生活が始まります。元和8年以前には宣歙観察使の盧坦の幕下で活動し、その後元和10年以前に浙東観察使孟簡のもとに仕官、元和15年以前には左拾遺に任命されています。

彼は元和15年10月には、右拾遺の李玨らとともに、穆宗に対し飲酒や遊興にふけることを注意する諫奏を行いました。この行動は、韋瓘が当時の政治状況に対する強い意識を持っていたことを示しています。その後、右補闕に昇任され史館の修撰に従事し、さまざまな官職を歴任しました。最終的には、文宗の大和7年（833年）に康州の長史に降格されたとされています。

韋瓘は、自らの門閥貴族の出自を背景に、顕職を目指しました。この志向は、彼を李徳裕と親しくさせ、彼を李党の一員とする要因となったようです。李德裕が高官となり、人と会わなくなった後も韋瓘はこれを訪れ、頼み事を聞いてもらっていたという記録があります。しかし、同時に彼は牛党の李宗閔に敵視される存在でもありました。

韋瓘の政治的キャリアは、李徳裕の失脚と密接に結びついています。文献によると、韋瓘は李徳裕が宰相を辞した際に一緒に降格されたとされていますが、この説には異論もあります。確かに彼はこの時期、李党の一員であったことは疑いようがありません。

韋瓘の著作には『全唐文』に含まれる数篇と『全唐詩』に収められた1首があります。特に、『周秦行紀』の著者と見なされており、この書は唐に対する批判を含んでおり、後の解釈では牛僧孺を偽名で使ったともいわれています。このため、彼の意図についてはさまざまな説が存在していますが、明証は示されていません。

韋瓘の晩年の詳細や死去年は不明ですが、懿宗咸通2年（861年）か3年（862年）の碑文によって、生存していたことが確認されています。彼の政治と文学の足跡は、唐の時代における複雑な権力構図や文化的交流を考察する上で貴重な資料となっています。彼の生涯や思想を探求することは、当時の中国の文学と政治の発展を理解するための重要な鍵を提供しています。

もう一度検索