京兆府

京兆府：古都西安の変遷を辿る行政区画

京兆府は、中国にかつて存在した行政区画であり、唐代から元代初期にかけて、現在の陝西省西安市一帯に設置されていました。その歴史は、隋代の京兆郡や唐代初期の雍州に遡ります。

前身と成立

京兆府の前身は、隋代の京兆郡と唐代初期の雍州です。713年（開元元年）に、唐朝によって雍州が京兆府に昇格されました。742年（天宝元年）には、西京とされ、関内道に属しました。

唐代の京兆府

唐代の京兆府は、万年、長安、藍田、渭南、昭応、三原、富平、櫟陽、咸陽、高陵、涇陽、雲陽、醴泉、興平、鄠、武功、好畤、盩厔、奉先、奉天、華原、美原、同官の23県を管轄していました。これは現在の西安市とその周辺地域を含む広大な範囲です。

宋代の京兆府

北宋時代になると、京兆府は永興軍路に属し、樊川、長安、咸陽、興平、臨潼、櫟陽、藍田、涇陽、高陵、鄠、武功、醴泉、乾祐の13県を管轄しました。唐代に比べて管轄範囲は縮小しましたが、依然として重要な地域でした。

金代の京兆府

金の時代には、京兆府は京兆府路に属し、咸寧、長安、咸陽、興平、臨潼、櫟陽、藍田、涇陽、雲陽、高陵、鄠、終南の12県を管轄しました。

元代の京兆府

1279年（至元16年）、元朝によって京兆府は安西路総管府と改められました。1312年（皇慶元年）には、安西路が奉元路と改称されました。奉元路は陝西等処行中書省に属し、咸寧、長安、咸陽、興平、臨潼、藍田、涇陽、高陵、鄠、盩厔、郿の11県と同州に属する朝邑、白水、郃陽、澄城、韓城の5県と華州に属する華陰、蒲城、渭南の3県と耀州に属する同官、富平、三原の3県と乾州に属する醴泉、武功、永寿の3県と商州に属する洛南県、合わせて5州26県を管轄しました。元代には、管轄範囲が大きく拡大しました。

明代以降

1369年（洪武2年）、明朝により奉元路は西安府と改められ、京兆府の名称は消滅しました。しかし、西安府はその後もこの地域の中心として発展を続けました。

京兆府は、隋唐時代から元代にかけて、西安を中心とする地域を統治した重要な行政区画でした。その変遷は、中国の歴史と文化を理解する上で欠かせない要素の一つです。

関連項目

京兆尹
京兆郡
* 雍州

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