音の大きさ

音の大きさ（ラウドネス）について

音の大きさ、またはラウドネスは、私たちの聴覚が感じる音の強さを表す心理的な指標です。この概念は主に音圧に基づいており、特定の周波数における音の大きさの感じ方は、単位「ソーン（sone）」で測定されます。

ラウドネスの定義と単位

ラウドネスは、音圧レベル40dB、周波数1kHzの純音を聞いたときに、ヒトが感じる音の大きさを1soneとし、さらにこの感じ方が倍になれば2sone、半分になると0.5soneという具合に、心理的な音の大きさを数値化したものです。音圧が増加すれば音も大きく感じられますが、周波数によって聴感が異なるため、同じ音圧でも周波数が変わることでラウドネスに違いが出る点に注意が必要です。

等ラウドネス曲線は、ヒトの聴覚がどのように異なる周波数の音に対して反応するかを示した図であり、特定のラウドネスが一定である音圧レベルの関係性が視覚化されています。

ラウドネスと物理量の関係

ラウドネスは心理的な側面を持つため、直接的に音量を測定するのは容易ではありません。しかし、音圧という物理量との強い関連性があることから、ラウドネスを物理量から推定・近似する方法が幾つか提案されています。例えば、A特性音圧レベルやMoore-Glasberg法などが挙げられます。

ラウドネスレベルの特徴

ラウドネスレベルは、周波数に応じて補正がかけられた音圧レベルであり、単位はホン（phon）です。この補正は、純音のラウドネスが周波数によって変わるという事実に基づいています。補正された音圧レベルが同じであれば、ラウドネスも近似的に等しくなります。たとえば、ある周波数の純音において補正係数をw_f、計測された音圧レベルをLとすると、そのラウドネスレベルはw_f × L [phon]となります。

ただし、ラウドネスレベルは純音のラウドネスに基づいて補正されているため、複合音にそのまま適用することは難しい場合があります。特に、近い周波数の純音からなる複合音では、マスキング効果によりラウドネスが抑制されることがあります。

音量調整への応用

ラウドネスは音響機器やオーディオソフトウェアにおける音量調整にも利用されます。異なる楽曲の音量を最大振幅で制御しても、視聴者が感じるラウドネスは一致しないことが多く、音圧とラウドネスには必ずしも一対一の関係が存在しません。音量調整の段階でラウドネスを揃えることによって、異なる音声信号間でラウドネスを均一化する「ラウドネス正規化」が実現可能です。

このように、音の大きさやラウドネスは非常に重要な概念であり、音の感じ方やその調整に深く関わる用語です。正確な理解と応用が、音楽制作や音響分野での実践に役立つでしょう。

もう一度検索