韻尾

中国語の音節構造における韻尾について

中国語の音節は、その構造上、声母（頭子音）と韻母（母音を中心とする部分）に大きく分けられます。さらに、この韻母は、音節の核となる韻腹（主母音）、その前にある韻頭、そして最後に位置する韻尾の3つの要素に分解できます。

韻尾とは

韻尾とは、音節の末尾に位置する音のことで、韻腹（主母音）に続く補助的な母音や子音を指します。この韻尾の音響的な特徴によって、中国語の音韻は大きく3つのタイプに分類されます。

韻尾の分類

1. 陰声韻：
- 西洋の音声学における下降二重母音や三重母音の末尾の音に相当します。これは、主母音と合わせて1つの母音とみなされることもありますが、音韻学では独立した韻尾として扱われます。また、主母音で終わる音節は、韻尾がない（ゼロ韻尾）と解釈されます。

2. 陽声韻：
- 子音で終わる韻尾です。歴史的な変化の中で、中古音においては/-m/で終わっていたものが、現代音では/-n/へと統合されました。これは、中国語の音韻体系の変化を示す重要な例です。

3. 入声韻：
- 破裂音で終わる韻尾です。中古音では/-p/, /-t/, /-k/といった子音で区別されていましたが、現代音ではこれらが失われ、声門破裂音/ʔ/に統合される変化を遂げました。この声門破裂音もやがては消失し、結果として陰声韻に変化しました。

韻尾の歴史的変化

中国語の音韻体系は、長い歴史の中で大きく変化してきました。特に韻尾の変化は、その特徴をよく表しています。例えば、中古音では多様な子音で終わっていた入声韻は、現代音ではほぼ消失しました。これは、中国語の音韻構造が簡略化されるとともに、より母音中心の音節構造へと変化したことを示しています。また、陽声韻における/-m/から/-n/への統合も、音韻体系の変化を理解する上で重要なポイントです。

これらの変化は、中国語の発音を学ぶ上で、また中国語の歴史を理解する上で、非常に重要な知識となります。韻尾の分類と変化を理解することで、中国語の音節構造をより深く理解することができるでしょう。

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