頃王 (周)

頃王（けいおう）は、中国の春秋時代に周王朝の王として在位した人物です。彼の治世は、周王朝がその権威を次第に失いつつあった時代と重なります。以下に、彼の生涯について詳しく見ていきましょう。

生涯

頃王は、周の襄王の息子として生まれました。彼の名前は壬臣（じんしん）と記録されています。紀元前619年8月、父である襄王が崩御すると、頃王はその後を継いで周王として即位しました。当時の周王朝は、春秋時代の各諸侯国が台頭し、王権が徐々に弱体化していくという状況にありました。そのため、頃王の治世もまた、多くの困難に直面することになりました。

即位した翌年の紀元前618年春、頃王は毛伯衛という人物を魯に派遣しました。その目的は、父である襄王の葬儀費用を魯に負担させることでした。この出来事は、周王室の経済的な困窮を物語るとともに、諸侯国への影響力の低下を象徴していると言えるでしょう。かつての周王朝であれば、諸侯国は当然のように費用を負担していたでしょうが、この時代においては、交渉や要請が必要となっていたのです。

紀元前613年春、頃王は在位わずか6年でこの世を去りました。彼の死後、王位は子の姫班（きはん）、後の匡王（きょうおう）が継承することになりました。しかし、当時の周王朝は政治的な混乱状態にあり、周公閲（しゅうこうえつ）と王孫蘇（おうそんそ）という有力者が政権を争っていました。そのため、頃王の死は正式に諸侯に訃告されることはありませんでした。この事実は、当時の周王朝の混乱ぶりを如実に表しています。王の死さえも、政治的な駆け引きの材料となってしまったのです。

子女

頃王には、以下の3人の息子がいたことが記録されています。

姫班（きはん）：後の匡王（きょうおう）として即位し、周王朝の王位を継承しました。
姫瑜（きゆ）：後の定王（ていおう）として、兄である匡王の後を継ぎました。
* 姫季子（ききし）：劉康公（りゅうこうこう）として、諸侯となったと考えられます。

これらの息子たちは、それぞれ異なる道を歩みましたが、彼らの存在は、周王朝の歴史において重要な役割を果たしました。

まとめ

頃王は、周王朝が衰退期にあった時代に在位した王であり、彼の治世は、王権の弱体化と諸侯の台頭が顕著になった時代でした。彼自身は、父の葬儀費用の負担を諸侯に求めざるを得ない状況であり、また、死後も政治的な混乱によって訃告されないという悲劇に見舞われました。しかし、彼の息子たちは、後の周王朝の歴史において重要な役割を果たし、彼らの子孫は、その歴史を継承していきました。頃王の生涯は、春秋時代の周王朝の動乱を象徴するものであり、彼の物語は、その時代の政治的な背景を理解する上で重要な手がかりとなります。

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