順如

順如：蓮如の長子、本願寺再興への貢献と波乱の生涯

順如（じゅんにょ、1442-1483）は、室町時代中後期に活躍した浄土真宗の僧侶です。蓮如の長男として生まれ、本願寺の法嗣として期待されましたが、父の死を待たずして42歳で生涯を閉じました。その生涯は、父・蓮如や異母弟・実如との複雑な関係、本願寺再興への尽力、そして数々の逸話に彩られた、波瀾万丈なものでした。

幼少期と得度

順如が誕生した当時、父蓮如は本願寺8世法主でしたが、本願寺は衰退し、延暦寺の末寺という立場にありました。14歳で母を亡くし、17歳で日野勝光の猶子として大僧正実助の下で得度します。実助は朝廷や幕府に顔が利く有力者であり、順如の後の活動に大きな影響を与えました。

寛正の法難と後継者問題

寛正6年（1465年）、蓮如と延暦寺との対立から大谷本願寺が破壊される「寛正の法難」が発生します。蓮如は万が一に備え、順如を後継者にしようとしますが、翌年蓮如が延暦寺に降伏した際に、問題が生じます。延暦寺は、順如が朝廷・幕府との繋がりを持つことを危惧し、蓮如の隠居と同時に順如の廃嫡を要求しました。蓮如は一旦はこれを受け入れ、順如を廃嫡して異母弟の実如を後継者に据えますが、後にこの決定は覆されます。教団内部の資料には順如が住持を務めたとする記述もあり、蓮如が仏法、順如が世俗を担当していたとする記録も残っています。順如は実如の後見人として、事実上の住持としての役割を果たしていた可能性も指摘されています。

本願寺再興への尽力

文明元年（1469年）、順如は園城寺を説得し、大津南別所に顕証寺を建立します。親鸞の祖像を同寺に安置し、住持として北陸布教中の蓮如に代わり、畿内門徒の統率と朝廷・幕府との交渉にあたりました。蓮如が越前吉崎御坊を拠点にすると、順如も吉崎を訪れ、今後の布教方針などを協議しました。

文明7年（1475年）、加賀門徒と守護富樫政親の対立が激化すると、順如は自ら吉崎に乗り込み、蓮如と家族を河内へ移しました。そこで、蓮如と順如は山科への本願寺再興を計画します。文明13年（1481年）、順如は仏光寺派の内紛に関与し、同派の幹部・門徒の本願寺への受け入れを実現しました。しかし、この頃から病気がちになり、文明15年（1483年）、山科本願寺に入ることなく顕証寺で亡くなりました。

順如の人物像

順如は優れた見識と豪放な性格で、蓮如の良き補佐役、後継者として期待されていました。しかし、酒好きが寿命を縮めたとも言われています。また、美男子であったという伝承も残っています。本願寺が衰微していた頃、8代将軍足利義政に「裸舞い」を命じられたという逸話も有名です。困惑しながらも本願寺再興のため舞い、義政から賞賛されたものの、その後は各地で「裸舞い」を要求される羽目になり、困り果てたそうです。

まとめ

順如は、複雑な時代状況の中で、父・蓮如の後継者として期待されながらも、様々な困難に直面しながら本願寺再興に貢献した僧侶でした。その生涯は、浄土真宗の歴史において重要な位置を占め、彼の功績は現在も語り継がれています。彼の人となりや逸話は、当時の社会状況や宗教情勢を知る上で貴重な資料となっています。彼の生き様は、現代においても多くの示唆を与えてくれるでしょう。

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