日野勝光

日野勝光（ひの かつみつ）

日野勝光は、室町時代中期から後期にかけての公卿で、藤原北家真夏流日野家出身です。右少弁・日野重政（政光）の子であり、日野富子の兄としても知られています。官位は従一位・左大臣にまで昇りました。

生涯

永享6年（1434年）に祖父・日野義資が暗殺され、父・政光も所領を没収されて出家したため、6歳にして家督を相続することになりました。

嘉吉元年（1441年）に元服し、日野宗家を継承します。その翌年には、7代将軍となったばかりの足利義勝（足利義政の兄）から一字を受けて「勝光」と名乗ります。

その後、妹である富子を8代将軍・足利義政の正室に入れ、その間に生まれた子・足利義尚の将軍職就任に貢献しました。さらに、娘を義尚の夫人に入れるなど、幕府との関係を深めました。

足利義尚が将軍に就任した際、畠山政長が儀式のために管領に就任しましたが、儀式終了後すぐに帰国したため、義尚が15歳になるまで、御判は前将軍・義政が、その他の政務は勝光が行うことになりました。公家である勝光は幕府の役職には就きませんでしたが、「新将軍代」と呼ばれました。ただし、この呼称が公式なものだったのか、単なる通称だったのかは不明です。

勝光は御前沙汰に参加し、政所執事の伊勢貞宗を補佐して奉行衆を指揮したり、協議の内容を義政に報告して了承を得たりしていたと考えられます。管領の職務を事実上担っていたものの、政所の職務に関与する権限や幕府文書を発給する権限はなかったとみられています。

文明8年（1476年）には左大臣に昇進しますが、間もなく辞任し、同年に48歳で亡くなりました。

人物

勝光は蓄財に励み、その権威の大きさから「押大臣（おしのおとど）」と評されました。その一方で、政治的な手腕も高く評価されており、室町幕府の政治に深く関与しました。

官歴

嘉吉元年（1441年）11月28日：元服
文安3年（1446年）12月7日：右少弁に任官
文安4年（1447年）3月17日：蔵人に補任、右少弁如元
文安5年（1448年）1月5日：正五位下に昇叙、蔵人右少弁如元
宝徳2年（1450年）3月29日：従四位下に昇叙、右中弁に転任、蔵人頭兼帯
宝徳2年（1450年）4月：従四位上に昇叙、蔵人頭右中弁如元
宝徳2年（1450年）4月26日：右大弁に転任、蔵人頭如元
宝徳2年（1450年）6月29日：正四位下に昇叙、蔵人頭右大弁如元
宝徳2年（1450年）10月7日：参議に補任、右大弁如元
宝徳3年（1451年）1月5日：従三位に昇叙、参議右大弁如元
宝徳3年（1451年）2月：左大弁に遷任、参議如元
宝徳3年（1451年）3月26日：権中納言に転任
享徳元年（1452年）8月11日：正三位に昇叙、権中納言如元
康正元年（1455年）8月27日：従二位に昇叙、権大納言に転任
長禄3年（1459年）12月14日：正二位に昇叙、権大納言如元
寛正6年（1465年）7月25日：従一位に昇叙、権大納言如元
文正元年（1466年）：院（後花園上皇）執事を兼帯
文正2年（1467年）2月6日：内大臣に転任、院執事を辞す
応仁2年（1468年）12月：内大臣を辞任
文明8年（1476年）5月16日：左大臣に任官
文明8年（1476年）6月14日：左大臣を辞任
文明8年（1476年）6月15日：薨去

系譜

父：日野重政（?-1443）
母：北小路苗子
養父：日野義資（1397-1434）
妻：不詳
男子：資基
男子：尊慶（-1512.11.14、延暦寺尊勝院、法眼）
男子：日野政資
男子：烏丸冬光
男子：円深（1476-1534.4.13、興福寺、西南院、別当、僧正）
女子：祥雲院 - 足利義尚正室
女子：光聚院（後宝慈院、景愛寺長老）

関連作品

『花の乱』（NHK大河ドラマ） 演：草刈正雄

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