須田英明

須田 英明

1948年に生まれた須田英明氏は、日本の歯科医師であり、歯学研究者として歯科医学界、特に歯内療法学分野において傑出した功績を残した人物です。長年にわたり教育、研究、そして学会活動の多方面で指導的な役割を担い、多くの歯科医師や研究者に影響を与えました。

学びとキャリア

須田氏は、日本を代表する歯科医学教育機関である東京医科歯科大学にて歯科医学を修めました。1974年に同学部を卒業後、さらに専門性を深めるべく大学院へ進学し、1978年に大学院課程を修了。同年には、歯学博士の学位を取得しています。博士論文では、「電気麻酔法と笑気吸入鎮静法に関する電気生理学的研究 : 大脳皮質誘発電位の振幅に及ぼす効果について」と題し、歯科治療における新しい鎮静・麻酔技術の生理学的効果に関する詳細な研究成果を発表しました。

大学院修了後も、須田氏は母校である東京医科歯科大学に籍を置き、研究・教育活動を続けました。1990年には同大学の教授に就任。以降、大学院医歯学総合研究科の口腔機能再構築学系専攻摂食機能保存学講座に属する歯髄生物学分野の責任者として、学生や大学院生の指導にあたるとともに、歯髄の基礎生物学から臨床応用まで、歯内療法学の最前線を牽引する研究を展開しました。

学会におけるリーダーシップ

須田氏の貢献は大学内にとどまらず、歯科関連の様々な学会でも中心的な役割を果たしました。特に専門分野である日本歯科保存学会では理事長を務め、また日本歯内療法学会では会長を務めるなど、これらの学会の運営と発展に大きく貢献しました。これらの役職を通して、専門分野の研究水準向上、教育プログラムの充実、そして専門医制度の確立と普及に尽力しました。

さらに、須田氏は以下に挙げる多数の学会においても、評議員や理事、委員などの要職を歴任し、広範な歯科医学分野全体の学術的発展に寄与しました。

日本歯科医学会 評議員
日本歯科保存学会 元理事長、歯科保存治療専門医
日本歯内療法学会 会長
日本口腔科学会 元理事、評議員、査読委員、プログラム検討委員、ICD委員
日本歯科医学教育学会 評議員、元常任理事
日本レーザー歯学会 理事
日本歯周病学会 評議員
日本歯科薬物療法学会 評議員、元理事、第28回総会・学術大会大会長（2008年）
日本外傷歯学会 学術委員、編集査読委員
日本歯科放射線学会
歯科基礎医学会
国際歯科研究学会日本部会
国際歯科研究学会機関誌編集委員
日本疼痛学会
日本炎症学会 評議員
口腔病学会 常任理事

これらの幅広い学会活動は、須田氏が単なる一研究者にとどまらず、歯科医学界全体の発展を見据えたリーダーであったことを示しています。

主要な著作

教育者、研究者としての知識と経験は、多くの書籍としてまとめられ、後世に伝えられています。須田氏は、自らが深く関わる歯内療法学をはじめ、有病者・高齢者歯科治療、歯科材料、外傷歯など、多岐にわたるテーマで重要な書籍の編著や監訳を多数手がけてきました。

代表的な著作としては、『有病者・高齢者歯科治療マニュアル』、『ハンディ歯内療法学』、『New エンドドンティックス』、『改訂版 エンドドンティクス21』、『失敗しない歯髄保存療法 抜髄する前にもう一度歯髄診断をしよう』、『歯内治療学』、『バイオロジーに基づいた実践歯内療法学（監訳）』などがあります。これらの書籍は、歯科医師の日常臨床や学生の学習において、基礎から最新技術までを網羅した必携の参考書として広く利用されており、歯科医療の質の向上に大きく貢献しています。

これらの著作活動は、須田氏が研究で得た成果や長年の教育経験を広く共有しようとする姿勢を示すものであり、日本の歯科医学教育・臨床水準の向上に不可欠な役割を果たしています。

まとめ

須田英明氏は、東京医科歯科大学における教育・研究活動、特に歯内療法学分野における先駆的な取り組み、そして数多くの主要学会での指導的な役割を通して、日本の歯科医学界に計り知れない貢献をしました。その多角的な功績は、今日の歯科医療の礎を築く上で極めて重要なものとして記憶されています。

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