頸肩腕症候群

頸肩腕症候群：首から腕にかけての痛みやしびれ、その原因と対処法

頸肩腕症候群は、首筋から肩、腕にかけて痛みやしびれなどの異常を訴える整形外科的な症候群です。肩や腕だけの症状にとどまらず、全身に影響を及ぼす可能性もある複雑な疾患です。本稿では、頸肩腕症候群の原因、症状、治療法について詳細に解説します。

頸肩腕症候群の原因

頸肩腕症候群の原因は多岐に渡り、特定が難しいケースも多いです。大きく分けると、以下の要因が挙げられます。

姿勢の悪さや長時間の同じ姿勢での作業: デスクワークや工場作業など、長時間同じ体勢を維持する作業は、筋肉や神経への負担を増大させます。
精神的ストレス: ストレスは筋肉の緊張を引き起こし、症状を悪化させる要因となります。
加齢: 加齢に伴い、筋肉や骨、神経の機能が低下し、症状が出やすくなります。
その他: 冷え性、睡眠不足、運動不足などもリスクファクターとして考えられます。

狭義の頸肩腕症候群は、他の明確な病気が原因でない場合に診断されます。かつては「キーパンチャー病」と呼ばれ、現在では「OA病」や「パソコン症候群」といった名称も用いられています。若年層にも発症し、女性に多く見られます。

頸肩腕症候群の症状

頸肩腕症候群の症状は多様で、個人差が大きいです。代表的な症状は以下の通りです。

首、肩、腕のこりや痛み: これが最も一般的な症状です。肩や腕に痺れや感覚異常を伴う場合もあります。
頭痛、めまい、耳鳴り: 首や肩の筋肉の緊張が、頭痛やめまい、耳鳴りを引き起こすことがあります。
精神症状: 集中困難、イライラ感、抑うつ症状、不眠などの精神的な症状が現れることもあります。
自律神経症状: 動悸、息切れ、冷や汗、便秘、胃腸障害などの自律神経症状もみられます。
その他: 目の痛み、疲れ、倦怠感、冷えなど、様々な症状が現れる可能性があります。

症状は上肢に限定されず、全身に及ぶ場合もあります。症状の出現パターンや重症度は人によって大きく異なり、軽度から重度まで幅広く存在します。

頸肩腕症候群の治療法

頸肩腕症候群の治療は、原因や症状、患者の状態に合わせて行われます。

西洋医学的な治療

薬物療法: 非ステロイド性抗炎症薬（痛み止め）、筋弛緩薬（筋肉の緊張を和らげる薬）、抗不安薬などが用いられます。
理学療法: 温熱療法、牽引療法、マッサージ、運動療法などが行われます。物理療法によって筋肉の緊張を緩和し、血行を促進します。

東洋医学的な治療

鍼灸治療: 鍼灸治療は、症状の緩和に効果があるとされています。特に、首や肩、腕の経穴（ツボ）に鍼を刺したり、もぐさを据えたりすることで、血行促進や痛みの緩和を図ります。健康保険が適用される場合もあります。
* 漢方薬: 体質や症状に合わせた漢方薬が処方されることもあります。

頸肩腕症候群と他の疾患との関連

重症で難治性の頸肩腕症候群は、線維筋痛症と類似した症状を示す場合が多く、注意が必要です。また、慢性疲労症候群や膠原病との鑑別診断も重要になります。

頸肩腕症候群の受診について

頸肩腕症候群は、整形外科だけでなく、神経内科、心療内科など様々な科を受診する必要がある場合があります。MRIやレントゲン検査では異常が見つからないことも多いため、診断に時間を要することがあります。複数の医療機関を受診する必要があるケースも多く、医療不信に陥る患者さんも少なくありません。経験豊富な医師による適切な診断と治療が重要です。

まとめ

頸肩腕症候群は、原因が複雑で症状も多様な疾患です。早期発見、早期治療が重要であり、適切な医療機関を受診することが大切です。長引く症状や気になる症状がある場合は、早めに医療機関に相談しましょう。 自己判断での治療は避け、医師の指示に従って治療を進めてください。

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