頸部血管超音波検査

頸部血管超音波検査の概要

頸部血管超音波検査は、主に頸動脈に対して行われる非侵襲的な診断法です。この検査は、特に糖尿病、高血圧、肥満、脂質異常などのリスク因子を持つ患者や、脳血管障害や虚血性心疾患が疑われる場合に非常に重要です。頸動脈の状態を詳細に調査することで、これらの疾患のリスクを評価し、早期発見や適切な治療に繋げることが可能です。

頸動脈の解剖と評価

頸動脈は主に内頸動脈と外頸動脈に分かれます。これらは多くの人で左右に存在し、内頸動脈は外頸動脈よりも太く、外側に位置することが一般的です。超音波検査では、これらの動脈の構造を観察し、内中膜複合体の厚み（IMT）を測定します。このIMTは、動脈硬化の初期段階を示す指標として評価され、高周波のリニアプローブを用いることで高精度な測定が行われます。

プラークとその評価

プラークとは、血管内に形成される脂肪やカルシウムなどの異常な厚みを持つ部分を指します。特に厚みが1.1mmを超えるものがプラークと見なされ、これは健常者のIMTを基に定義されています。プラークの大きさや数量は、プラークスコアとして定量化され、脳梗塞などのリスク因子として重要です。さらに、プラークの性状（輝度、表面形状、均一性、可動性）を評価することで、より詳細なリスク判断が可能になります。

プラークスコアの意義

プラークスコアは、頸動脈のプラークの高さの総和を4分割して算出されます。このスコアが高いほど、脳梗塞のリスクが増加し、冠動脈硬化との関連性も強まるため、診断において重要な指標とされています。エコー輝度の評価も大切で、低輝度のプラークは脆弱で脳梗塞の危険性が高いとされています。

表面性状と均一性

プラークの表面が平滑であればリスクは比較的低いですが、2mm以上の凹みがあると潰瘍と判定され、脳梗塞のリスクが高まります。また、エコー輝度が異なる場合は不均一とされ、疾患の症候性が高いと考えられています。

狭窄率と血流速度の測定

頸動脈の狭窄率の測定方法として、area法、ECST法、NASCET法の3つが広く利用されています。この狭窄率の測定は脳梗塞の病型の診断において重要な役割を果たします。特に血流速度は、収縮期最高血流速度や拡張末期血流速度などを測定し、狭窄の程度を判断するための信頼性の高い指標となります。

椎骨動脈の評価

椎骨動脈も重要な血管であり、その血流の有無や速度、血液の逆流現象などが診断に役立ちます。これにより、各種の病変の診断を行うことが可能で、特に血流逆流が見られる場合には、鎖骨下動脈盗血現象が疑われます。

まとめ

頸部血管超音波検査は、頸動脈や椎骨動脈の評価を通じて、動脈硬化や脳血管障害のリスクを判断するための重要な検査です。非侵襲的であるため、早期の診断や予防的アプローチに非常に有効です。この検査を通じて、患者の健康管理がより良い方向へ導かれることが期待されます。

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