頼清徳

頼清徳（ライ・チントー）

頼清徳（ライ・チントー、繁体字: 賴清德、英語: Lai Ching-te、William Lai）は、1959年10月6日生まれの台湾の政治家であり、医師でもあります。民主進歩党（民進党）に所属し、現在中華民国（台湾）の第8代総統を務めています。

生い立ちと医師としてのキャリア

頼清徳は、台北県（現在の新北市）で炭鉱労働者の息子として生まれました。生後3ヶ月で父親を炭鉱事故で亡くし、母親は苦労しながら6人の子供を育てました。国立台湾大学医学部リハビリ学科、国立成功大学医学士後医学科を卒業後、ハーバード大学で公衆衛生学の修士号を取得しました。その後、台南市の国立成功大学医学部附属病院で内科医として勤務していました。

政界への転身

1995年から1996年にかけての第三次台湾海峡危機をきっかけに政界入りを決意。1996年に国民大会代表に当選し、政治家としてのキャリアをスタートさせました。1998年には立法委員に初当選し、2008年まで連続当選を果たしました。

台南市長としての実績

2010年、台南市長に当選。2014年には再選を果たし、台南市の発展に尽力しました。市長時代には、二・二八事件の犠牲者を追悼する活動や、市内の学校に設置されていた蔣介石の銅像を撤去する方針を打ち出しました。

行政院長、副総統、そして総統へ

2017年、蔡英文政権下で行政院長に指名され、就任しました。2018年には統一地方選挙で民進党が大敗したことを受け、一時辞任を申し出ましたが、慰留され、翌年1月に辞任しました。2020年の総統選挙では、蔡英文の副総統候補として選出され、当選。2022年には民進党主席に就任。2024年の総統選挙では、民進党の候補者として選出され、当選し、2024年5月20日に中華民国総統に就任しました。

人物像

頼清徳は、民進党内では「民進党のホープ」として大きな期待を集めています。内科医でありながら、公衆衛生学の専門家でもあり、市民からは「仁医」や「頼神」などの愛称で親しまれています。市政の情報発信にLINEを積極的に活用し、市民とのコミュニケーションを重視する姿勢も評価されています。一方で、台風休暇の発令の遅れで批判を浴びたこともあります。

対中姿勢

台湾独立派として知られており、「台湾は中華民国という名の独立した主権国家である」と主張しています。中国に対しては「親中愛台」の立場をとりつつも、台湾の主権を尊重するよう求めています。また、中国が台湾に対して「領土回復」を掲げていることを批判し、ロシアの領土問題における二重基準を指摘したことで、ロシアからサイバー攻撃を受けたこともあります。

対日姿勢

親日家としても知られ、日本との関係を重視しています。東日本大震災の際には、台南市民と共に被災地を訪問し、復興支援に尽力しました。また、八田與一の慰霊式典を毎年行うなど、日本統治時代の台湾の歴史にも関心を示しています。2022年には、安倍晋三元首相の弔問のため日本を訪問し、日台関係の重要性を強調しました。この訪問は、日台断交後、現職副総統として異例の対応とされました。

頼清徳は、台湾の複雑な政治状況の中で、リーダーシップを発揮し、国内外からの期待に応えることが求められています。

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