頼賀

頼賀（らいが）について

頼賀は、戦国時代から江戸時代初期にかけて活動した富士山興法寺の衆徒であり、歴代の中で第52代に数えられています。彼は村山三坊の一つである大鏡坊を引き継ぐことでその名を残しました。この時期、彼の影響力は非常に大きく、特に富士信仰の中心人物としての役割を担っていました。報告されているところによれば、頼賀は天正11年（1583年）の7月に大鏡坊を継承し、その際に発給した文書には、彼が富士先達の檀那場を保証するという内容が含まれています。この行為は、大鏡坊の代替わりに伴い、過去の権利が認められたことを示す重要な一歩とされています。

彼の継承した大鏡坊の伝統では、「頼」という文字が通字として用いられています。前任者の第50代は「頼慶」であり、彼の前には第51代の「頼恵」が存在しました。文献『富士山伝記并興法寺歴代』に記録されているように、頼慶の弟が頼恵であり、頼恵の子が頼賀であったとされています。こうした血筋は、頼賀が富士山興法寺の伝統を引き継ぐ存在として非常に重要であったことを示しています。

家族と出自

頼賀の家族に関しては、妻が大宮城主であった富士信忠の娘であったことが知られています。さらに、頼賀の子孫にあたる井出正易は、彼の娘の子であることから、頼賀一家の影響力が後世にも続いていることを物語っています。井出正易の父は井出正勝で、彼の母親の家系が頼賀に繋がることから、江戸幕府の旗本として成功を収めた井出家には頼賀の血が流れているのです。

妻の出自である富士氏は、駿河国の富士上方、現在の静岡県富士宮市に居を構えていた国衆であり、頼賀自身も同じ富士上方の勢力の一員であったことが報告されています。頼賀の家系は『葛山系譜』に記載されており、富士郡に属する葛山一族として認識されていますが、残念ながらその系図に関しては不正確であるとの指摘もあり、一族全体の正確な情報は不明である点も事実です。

頼賀の娘が嫁ぎ先の井出家も、富士上方を拠点とする一族であり、彼の家族を通じて地域の歴史が繋がっていることがわかります。

まとめ

頼賀は、戦国から江戸時代初期にかけての富士山信仰や修験道の重要な位置を占めていた衆徒であり、その家族や血筋からもその影響力は広がっています。彼の生涯と業績は、富士山興法寺の歴史を知る上で欠かせない資料と言えるでしょう。今後の研究において、頼賀の存在がどのように評価され続けるのか、非常に興味深いところです。

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