顔たち、ところどころ

『顔たち、ところどころ』（原題：Visages Villages）は、2017年に公開されたフランスのドキュメンタリー映画です。映画界の巨匠アニエス・ヴァルダと写真家・アーティストのJRが共同で監督を務めました。

この作品は、二人がフランス各地の農村を旅しながら、そこで出会う人々のポートレートを撮影し、巨大な写真として街の壁などに貼り出していく過程を追っています。アニエス・ヴァルダの独特な視点と、JRのストリートアートの才能が融合し、心温まる人間ドラマが展開されます。

映画は、第70回カンヌ国際映画祭のコンペティション外で上映され、ドキュメンタリー映画賞であるルイユ・ドール賞を受賞しました。さらに、第90回アカデミー賞では長編ドキュメンタリー映画賞にノミネートされるなど、世界的に高い評価を受けました。

批評家からの評価も非常に高く、映画批評サイトRotten Tomatoesでは、86件のレビューで支持率100％、平均点8.9/10という驚異的な数値を記録しています。Metacriticでも19件のレビューに基づき加重平均値95/100と、こちらも非常に高い評価を得ています。また、2017年のバンクーバー国際映画祭では国際ドキュメンタリー賞を受賞し、アメリカの『タイム』誌では2017年のトップテン作品の一つに選出されるなど、多くの映画祭やメディアでそのクオリティが認められました。

本作は、単なるロードムービーではなく、人と人との繋がりや、アートの持つ力、そして時の流れといった普遍的なテーマを、ユーモアと温かい眼差しで描いています。アニエス・ヴァルダとJRの二人の掛け合いも魅力的で、観る人に深い感動と喜びを与えてくれるでしょう。

映画の舞台となるフランスの農村風景も美しく、二人のアート活動を通じて、その土地の歴史や文化も感じることができます。ドキュメンタリー映画でありながら、まるでフィクション映画のようなドラマチックな展開もあり、最後まで飽きることなく楽しめます。

『顔たち、ところどころ』は、映画ファンだけでなく、アートや写真に関心のある人、そして心温まる物語を求めるすべての人にオススメできる傑作です。

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