顕宗 (朝鮮王)

顕宗（ヒョンジョン）

顕宗（けんそう、1641年3月15日 - 1674年9月17日）は、李氏朝鮮の第18代国王（在位：1659年 - 1674年）です。名は棩（ヨン）、字は景直（キョンジク）。諡号は昭休衍慶敦徳綏成純文粛武敬仁彰孝大王（ソヒュヨンギョンドンソンドクスイソン スンムスックムキョンインチャンヒョテワン）。清国からは荘恪王（ソウカクオウ）の諡号が贈られました。第17代国王・孝宗の長男として生まれ、母は仁宣王后張氏、妃は明聖王后金氏です。

生涯

顕宗は、丙子の乱後、父・孝宗が清の人質となっていた瀋陽で誕生しました。朝鮮の歴代国王の中で唯一、国外で生まれた人物です。1644年に父に先立って帰国し、孝宗の即位に伴い、世子に冊立されました。

治世中には、1次礼訟論争（1659年）と2次礼訟論争（1674年）という、王族の服喪期間を巡る重要な論争が起こりました。また、1662年には大同法が湖南地方にも拡大されました。しかし、治世の後半には、朝鮮半島を襲った未曾有の飢饉（庚辛大飢饉）や天災に見舞われ、その対応に苦慮しました。さらに、礼訟問題への対応にも腐心する中、34歳という若さで亡くなりました。

清から贈られた諡号は「荘恪王」でしたが、これは清が朝鮮国王に求めた「従順さ」を意味するものでした。しかし、朝鮮側はこの諡号を「夷狄」からのものとして恥辱と感じており、公式記録から徹底的に取り除かれました。表向きは清に朝貢・冊封を行い恭順の姿勢を示しつつも、根底には清に対する強い反発があったことがうかがえます。

家系

祖父: 仁祖（1595年 - 1649年）
祖母: 仁烈王后韓氏（1594年 - 1636年）
父: 孝宗（1619年 - 1659年）- 第17代国王
母: 仁宣王后張氏（1619年 - 1674年）
姉: 淑慎公主（1634年 - 1645年）
姉: 淑安公主（1636年 - 1697年）
姉: 淑明公主（1640年 - 1699年）
妹: 淑徽公主（1642年 - 1696年）
妹: 淑静公主（1645年 - 1668年）
妹: 淑敬公主（1648年 - 1671年）
義姉: 義順公主（1635年 - 1662年）- 錦林君 李愷胤の娘、父・孝宗の養女
正室: 明聖王后金氏（1642年 - 1684年）- 清風府院君 金佑明の娘
息子: 粛宗 李焞（1661年 - 1720年）- 第19代国王
娘: 明善公主（1660年 - 1673年）
娘: 明恵公主（1665年 - 1673年）
娘: 明安公主 李温姫（1667年 - 1687年）- 呉泰周の正室
孫: 英祖-第21代国王

登場作品

ドラマ: 『馬医』（2012年～2013年、MBC、演：ハン・サンジン）

注釈

顕宗は、その短い生涯の中で、多くの困難に直面しながらも、国政に尽力しました。特に、礼訟論争は、王権と臣権の対立を象徴する出来事として、朝鮮の歴史において重要な意味を持っています。また、飢饉や天災に見舞われた際には、民衆の救済に尽力しました。彼の治世は、朝鮮社会の変革期であり、その後の歴史に大きな影響を与えました。

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