大同法

大同法について

大同法（たいどうほう、デドンボプ）は、李氏朝鮮において1608年に導入された税制である。主に平安道、咸鏡道、済州島を除く地域で実施されたこの法制度は、貢納制の弊害を改善する目的で施行された。貢納制では、農民が田税、軍役、さらに特産物を納めることが求められたが、特産物と無関係な農民は商人から高額で購入することを余儀なくされ、そのため農民は貧困に苦しみ、国家の歳入は減少していた。

そこで、大同法では土地1結に対して米12斗を納める方針が定められ、貢納からの除外が掲げられた。特に山間部では米の代わりに大同木や大同銭が利用されることもあった。この税制の導入は、壬辰倭乱が終息し食糧不足に直面したことから、柳成龍が1594年に一年限定で施行した代貢収米法を基にしている。1608年には、領議政の李元翼が京畿道を始めとする数地域で、貢納制の弊害をもとに大同法を改革した。

税制の具体的内容

実施地域の税制は地域によって異なっていた。江原道では海岸地区が京畿道の例に基づき、春秋の二期に分けて土地1結あたり米12斗を納め、山間部では土地1結につき米5斗に木棉1匹が要求された。忠清道も初めは土地1結につき米10斗を納めていたが、後に12斗に引き上げられた。一方で全羅道と慶尚道では、基本的に米13斗を納入し、黄海道は地方税の整備に応じて15斗を納めることが義務付けられた。

大同法の普及

この新しい制度の全国的な拡大には時間がかかった。特に、両班や商人たちが広大な土地を所有しており、反対の声が強かったため、実施までにはおよそ100年もの時間を要することとなる。忠清道の観察使を務めた金堉は1649年に孝宗に対し、忠清道と全羅道での施行を提案した。彼は農業と炭の販売を通じて人々の生活を理解し、大同法の導入に命を賭けていた。

1651年には金堉が領議政に就任し、忠清道でも大同法を施行した。その後、1657年に全羅道での実施を提案したが、彼はその途中で亡くなってしまった。しかし、彼の意志を引き継いだ金佐明らの努力が実を結び、全国的にこの税制が広まることとなる。

賛否の分かれる意見

大同法には支持する声と反対する声が共存していた。支持派には金堉、金佐明、金弘郁、李元翼などが名を連ねていたのに対し、反対派には金集、安邦俊、宋時烈といった人物が存在した。

結果

この税制の導入により、農民の負担は軽減され、商業が発展していった。しかし、一方で農業技術の発展が追いつかず、凶作が頻発したため、多くの農民が逃げ出す事態が生じた。逃亡した農民に対しては、親族が税を納付する族徴や隣人が負担する隣徴という制度が設けられたが、これにより村から農民がいなくなる地域も生じた。

このように、大同法は農民生活に大きな影響を与えたにも関わらず、全ての問題を解決するには至らなかった。

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