類聚符宣抄

類聚符宣抄：平安時代の法令集

『類聚符宣抄』（るいじゅうふせんしょう）は、平安時代における貴重な法令集です。天平9年（737年）から寛治7年（1093年）までの太政官符、宣旨、解状といった公式文書を、種類ごとに整理してまとめたものです。別名『左丞抄』とも呼ばれています。

成立と編纂者

従来、本書の成立年代は、最古の写本（宮内庁書陵部所蔵）が保安2年（1121年）、3年に書写されたこと、そして収録文書の最新のものが寛治7年正月19日の宣旨であることから、寛治7年から保安2年頃と推定されてきました。編纂者については、長らく小槻氏によるものとされてきました。

しかし近年、平安時代後期の官僚であった源経頼（宇多源氏）が編纂したとする新説が提示されています。この説では、経頼が長暦3年（1039年）に没したため、編纂は未完に終わったとされています。この説では、寛治7年の宣旨が収録されている点との矛盾が生じますが、長暦3年から寛治7年までの文書は、全て女院号に関する16通の文書であり、これらは保安2年までに後の写本作成時に追加されたと解釈されています。いずれの説が正しいかについては、さらなる研究が必要です。

収録内容と特徴

『類聚符宣抄』は、太政官における様々な公式文書を網羅しています。これらの文書は、当時の政治、社会、経済、文化など、多岐にわたる情報を提供する貴重な史料です。例えば、公家の任免、土地の売買、寺院の建立、外交に関する事項など、幅広い内容が含まれています。文書は種類ごとに分類整理されているため、研究者にとって非常に利用しやすい構成となっています。

本書は、平安時代における行政システムや法制度を理解する上で重要な役割を果たします。当時の政治状況や社会構造、官僚機構の動きなどを具体的に知ることができるため、歴史研究において不可欠な史料となっています。

関連文書と参考文献

『類聚符宣抄』と関連する文書として、『続左丞抄』が挙げられます。これは、天暦2年（948年）から元禄7年（1694年）までの太政官関連文書を、元禄時代に壬生季連が写したものです。当初は『新写古文書』と呼ばれていましたが、後に『類聚符宣抄』の続編として位置づけられました。

本書の研究にあたり、以下の参考文献が役立ちます。

宮内庁書陵部『図書寮典籍解題』昭和26年（1951年）
橋本義彦「類聚符宣抄」（『国史大系書目解題』上巻）昭和46年（1971年）
* 清水潔『類聚符宣抄の研究-付類聚符宣抄･別聚符宣抄索引』昭和57年（1982年）

『類聚符宣抄』は、新訂増補国史大系（吉川弘文館）第27巻に収録されており、誰でもアクセス可能です。平安時代研究において、本書は重要な一次史料として活用されています。本書を通じて、平安時代の政治、社会、文化をより深く理解することができるでしょう。

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