顧孟余

顧孟余の生涯と業績

顧孟余（こ もうよ）は中華民国の重要な政治家及び教育者であり、中国国民党左派の要人とも言える存在でした。彼は主に陳公博が率いる「改組派」の中心人物として知られ、政治的な影響力を持ちました。彼の本名は兆麟で、かつては字を夢漁としていましたが、後に孟余と改名しました。また、著作活動の際には公孫愈之という筆名も使用しました。

初期の活動

顧孟余は1905年、「光緒31年」に北京訳学館に入学し、翌年にはドイツに留学しました。彼はベルリン大学で政治学と経済学を学び、1910年の「宣統2年」に中国同盟会に参加。この団体は辛亥革命の推進に大きく寄与しました。1911年に帰国後、辛亥革命にも加わりました。

1916年には国立北京大学の教授を務め、その後、文学部ドイツ語科の主任や、法学部経済科の主任、さらには教務長などを歴任しました。1924年には中国国民党京都特別市党部の籌備主任に任命され、翌年12月には国立広東大学の校長となります。

1926年1月には国民党第2期中央執行委員としても活動し、同年7月には党中央政治会議の委員となり、更には国立中山大学委員会の副主任にもなるなど、様々なポジションでの職務を遂行していきました。1927年3月には党中央政治委員会の委員に選出され、武漢国民政府においても要職を果たしました。

改組派への参加

1928年、国民党左派の重鎮である陳公博が「国民党改組同志会」を結成すると、顧孟余もこのグループに加わり、蔣介石に反対する政治活動を展開しました。この結果、翌年3月の国民党第3回全国代表大会では、蔣介石側から党籍停止3年の処分を受けましたが、その後も上海で創刊した雑誌『前進』を通じて反蔣の言論活動を続けました。1930年には反蔣派の北平拡大会議にも参加するなど、活発な活動を行いました。

1931年11月の国民党第4回全国大会では、顧は党籍を復活させ、中央執行委員及び中央政治会議の役員と任ぜられました。さらに、翌年3月には国民政府の鉄道部部長に就任し、1935年12月になると党の第5期中央執行委員に当選、その後交通部長へと転任しました。

汪兆銘との決別

日中戦争が勃発した1938年6月、顧孟余は国民参政会のメンバーに選ばれ、更には国民党中央宣伝部の部長にも返り咲きました。しかし同年12月には、重慶を脱出する直前の汪兆銘と対話し、彼を改心させようと試みたものの失敗し、最終的には汪派と決別しました。1941年7月には国立中央大学の校長に任命され、さらに1943年2月には三民主義青年団の指導員に就任しました。

国共内戦の最中、1948年2月には国民政府の顧問となり、5月には行政院の副院長に指名されましたが、実際にはその職を全うすることはありませんでした。1949年4月には香港へ移り、雑誌『大道』を創刊し、のちにアメリカのカリフォルニア州に移住し、中国研究センターの顧問を務めました。

1969年には台湾へ帰還し、総統府資政となった顧孟余は、1972年6月25日に台北にて85歳で永眠しました。彼の生涯は中国の政治と教育の歴史に深く影響を与えたものとして、現在でも評価されています。

参考文献

• - 徐友春主編『民国人物大辞典 増訂版』
• - 劉国銘主編『中国国民党百年人物全書』
• - 東亜問題調査会『最新支那要人伝』

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