風 (雑誌)

俳誌「風」（沢木欣一創刊）

「風」（かぜ）という名称の雑誌は複数存在するが、ここでは特に1946年に沢木欣一によって始められた同名の俳誌「風」について詳述する。

その創刊は1946年5月、戦後間もない時期に金沢市において、俳人の沢木欣一を発行者として行われた。創刊当初の編集同人には、中西舗土、黒田桜の園、原子公平といった俳人たちが名を連ねた。

創刊号では、俳句を単なる定型詩としてではなく、一つの文学形式として確立することを目指す理念が示された。具体的には、戦後の混乱期にあって人間性の回復を希求し、旧来の枠に囚われない新しい叙情を表現すること、そして時代の流れや日々の生活を偽りなく詠むことを重要な目標とした。

選句においては、創刊3号より沢木欣一、中西舗土、黒田桜の園による共選体制が取られ、1951年3月からは沢木が単独で主宰者として誌面を牽引する体制へと移行した。誌面には活発な俳論が多く掲載され、特に1950年代半ば頃から俳壇で熱心に議論された社会性俳句を推進する上で、この雑誌は極めて重要な役割を果たした。

発行所は、1956年に金沢から東京都武蔵野市へと移転した。その後、1965年からは方針を転換し、俳句が持つ固有の表現形式やその独立性を深く追求することを標榜し、論よりも実作を重視する姿勢を明確にした。

主宰者である沢木欣一の死去に伴い、雑誌は2002年3月号をもって終刊を迎えた。これは通巻631号にあたる。

この雑誌には多くの俳人が参加したが、主な顔ぶれ（退会者を含む、括弧内は各自の主宰誌）は以下の通りである。

飴山實
安東次男
右城暮石（「運河」）
金子兜太（「海程」）
栗田やすし
田島和生
中山純子
原子公平（「風涛」）
林徹（「雉」）
細見綾子
* 皆川盤水（「春耕」）

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