風の慕情

風の慕情

『風の慕情』は、1970年7月1日に公開された日本のドラマ映画です。製作・配給は松竹が担当し、吉永小百合と石坂浩二が主演を務めました。脚本は橋田壽賀子が手がけ、戦争孤児の悲劇をテーマにした作品となっています。この映画は、日活がロマンポルノ路線に転換した時期に、吉永小百合が松竹で撮影した作品としても知られています。

あらすじ

物語は、妹の由布子が見合いの申し込みを受け、結婚を決める前に、まだ一度も会ったことのない姉の意見を聞くためにオーストラリアへ旅立つところから始まります。姉は5歳の時に戦争で行方不明となり、その後は手紙でのみ連絡を取り合っていましたが、写真だけは送ってくれませんでした。シドニーへ向かう機内で、由布子は郷田という日本人男性と出会います。空港に到着すると、西条という男に声をかけられますが、姉は手紙に書かれていた住所にはいませんでした。その後、由布子は謎の西洋人に尾行されるようになります。

西条が残したメモの文字が姉の手紙のものと同じであることに気づいた由布子は、郷田に相談しますが、西条とはもう会わない方がいいと言われます。ある日、由布子と西条がレストランにいると、姉と同年代の女性が男たちと入ってきます。後から来た郷田は、その女性が複数の男性と関係を持つような女性だと告げ、激昂した西条と郷田は殴り合いになります。その女性こそ、由布子の探していた姉のゆきでしたが、ゆきは何も告げずにマニラへ去ってしまいます。由布子と西条は飛行機で彼女を追いかけますが、ゆきはすでに自殺した後でした。

キャスト

長谷由布子: 吉永小百合
西条直紀: 石坂浩二
八田則子: 尾崎奈々
郷田実: 森次浩司
大森源吉: 入川保則
長谷ゆき: 香山美子
木村初子: 渚まゆみ

スタッフ

製作: 樋口清
監督: 中村登
脚本: 橋田壽賀子
撮影: 竹村博
音楽: いずみたく
美術: 横山豊
録音: 田中俊夫

同時上映

* 花の不死鳥

『風の慕情』は、戦争によって引き裂かれた家族の絆、そして再会を求める人々の切ない想いを描いた作品です。吉永小百合と石坂浩二の演技が、物語に深みを与えています。

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