風博士 (ウェブブラウザ)

風博士（かぜはかせ）は、GTK2を用いて開発されたオープンソースのウェブブラウザです。このプロジェクトは、情報処理推進機構（IPA）の「未踏ソフトウェア創造事業」に2004年度第1回で採択され、その開発が始まりました。当初はGPL2ライセンスの下で提供され、自由に利用・改変することができました。

かつてはUbuntuなどのLinuxディストリビューションのリポジトリにも登録されており、手軽にインストールすることができましたが、開発が数年間停止しているため、現在はこれらのリポジトリから除外されています。

名称は、坂口安吾の同名小説『風博士』に由来します。また、このブラウザは、毎月29日に「肉の日」にちなんで、肉に関する豆知識と共にリリースされるというユニークな慣習がありました。

特徴

風博士は、その柔軟性と拡張性を重視した設計が特徴です。主な機能としては、以下のようなものが挙げられます。

複数のHTMLレンダリングエンジン対応: 風博士は、以下の3つの主要なレンダリングエンジンをサポートしていました。これにより、様々なウェブページの表示に対応することができました。
Gecko
Gtk+ WebCore
Trident（GtkIEEmbedを使用）
履歴内の全文検索: ブラウジング履歴全体を対象とした全文検索機能により、過去に閲覧したウェブページを簡単に見つけ出すことができました。
Rubyによる機能拡張: スクリプト言語であるRubyを用いて、ブラウザの機能をユーザー自身が自由に拡張することができました。これにより、個々のニーズに合わせたカスタマイズが可能でした。
ユーザーのスキルごとに変更可能なインターフェース: インターフェースは、ユーザーのスキルレベルに応じて変更可能であり、初心者から上級者まで、快適に利用できるよう工夫されていました。
ウェブページのサムネイル生成機能: 閲覧したウェブページのサムネイルを自動的に生成する機能を備えており、視覚的にウェブページを管理することができました。
フィードリーダー機能: RSSやAtomなどのフィードを購読し、最新情報をチェックできるフィードリーダー機能が搭載されていました。
タブブラウザ: 複数のウェブページを同時に開いて閲覧できるタブブラウザ機能を備えており、効率的なウェブブラウジングが可能でした。
* マウスジェスチャー: マウスの操作によって、ウェブページの移動やタブの切り替えなどの操作を直感的に行うことができるマウスジェスチャー機能が搭載されていました。

風博士は、その先進的な機能と柔軟性によって、一部のユーザーから高い評価を得ていましたが、残念ながら開発は停止してしまっています。

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