風林火山 (1992年のテレビドラマ)

風林火山



概要



『風林火山』は、1992年の大晦日に日本テレビ系列で放送された『年末時代劇スペシャル』の第8作目です。この作品は「武田の軍師・山本勘助の愛と野望」と題され、井上靖の同名小説を基に、戦国時代の夢や愛、悲しみを描いています。シリーズで戦国時代を背景にした作品はこの時が初めてで、主演には里見浩太朗が選ばれました。彼は山本勘助の役を演じることを長い間望んでいたとのことで、特に注目されています。

なお、里見は高坂昌信という別の役も務めており、珍しく一人の俳優が二役を担当するケースとなっています。さらには、武田信玄役に舘ひろしが、由布姫には古手川祐子がキャスティングされ、歴史ファンには嬉しい組み合わせが実現しました。対戦相手には、上杉謙信役の髙嶋政宏や、川中島の決戦を描いた鬼小島弥太郎役の山城新伍も含まれています。詳細には、クライマックスの戦闘シーンや多くの合戦シーンが盛り込まれ、テレビドラマとは思えないスケール感を持たせています。

この作品の脚本は杉山義法が手がけており、冷徹なイメージの勘助が人情味あふれる熱血漢として描かれています。さらに、由布姫との複雑なロマンスや、コミカルな要素も強調されており、より感情移入しやすい物語づくりがなされています。

ナレーターは中野誠也が務め、主題歌は近藤房之助とクンチョーによる「夢を継ぐ人」が使用されています。

あらすじ



第一部「野望編」



物語は戦国時代の日本。武勇と知略が交錯する中、山本勘助はまだその大きな志を果たせずにいました。彼は一介の素浪人として生活していましたが、仲間の青木大膳から武田家への仕官の話を聞き、興味を持ち始めます。武田信虎が長男の晴信により追放された後、若き晴信は勘助を優遇し、彼を引き入れますが、家臣たちはなかなか勘助を受け入れません。

その後、勘助の立案によって武田軍は信濃への侵攻で戦闘を回避することに成功し、その席で彼は敵将の美しい娘・由布姫に出会います。しかし、姫は勘助の姿を「醜い」となじり、勘助は複雑な感情を抱くようになります。

そして、信濃経営を目指す晴信は幾度と出兵を重ねますが、重臣たちが次々と命を落とし、道は険しいものでした。そんな中、由布姫が失踪し、勘助は彼女を救うために雪の中を彷徨います。彼はこの時、初めて自分の気持ちを姫に告げることになります。

第二部「愛憎編」



信濃を手に入れる寸前、勘助には三つの願いがありました。一つは長尾景虎の排除、一つは由布姫が生んだ晴信の子・勝頼の初陣を見ること、そして最後には晴信の好色な性格を改めさせることでした。晴信は由布姫だけでなく、於琴姫という別の美姫にも情を寄せていました。

勘助は晴信に説法を試み、彼はついに出家を決意。信玄と名乗る晴信の姿が見受けられます。信玄はその後、関東管領を継いだ景虎を意識し、三国同盟を結ぶなど、積極的に動き出します。しかし、次第に彼の周囲には危険な陰りが差し込んでくるのです。

そして、川中島の合戦が始まります。武田軍は数を減らし、信玄は奮闘したものの、自らの死期を迎え、勘助は最後の瞬間に由布姫の笑顔を思い浮かべながら、忌まわしい運命に抗えずに息を引き取っていきました。

キャスト




スタッフ




放送後



視聴率は期待を下回り、この作品を最後に日本テレビは同シリーズの大晦日放映を終える決断を下しました。二部構成の作品もこの作品で幕を閉じ、里見浩太朗の出演作もこの作品が最後となりました。

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