飛将軍

飛将軍（ひしょうぐん）/ 飛将（ひしょう）

「飛将軍」または「飛将」とは、行動が素早く、勇敢な将兵を意味する言葉です。中国の歴史において、特に武勇に優れた人物を称える際に用いられてきました。

語源と由来

この言葉の語源は、前漢時代の名将・李広（りこう）の異名に由来します。李広は匈奴との戦いでその名を轟かせ、匈奴の人々から「飛将軍」と呼ばれ恐れられました。彼の迅速かつ大胆な戦いぶりは、まさに飛ぶが如くであったと伝えられています。

歴史上の「飛将」たち

李広以降も、その武勇を讃えられ「飛将」と称された人物が複数存在します。

呂布（りょふ）：『三国志』に登場する呂布は、その怪力と弓馬の腕前によって「飛将」と呼ばれました。彼は李広になぞらえられ、その武勇は広く知られていました。

単雄信（ぜんゆうしん）：『新唐書』に記録された単雄信は、隋末唐初に活躍した武将です。彼は騎兵突撃用の長槍（槊）の使い手であり、その武勇から「飛将」と号されました。

不名誉な「飛将」の例

一方で、「飛将」という言葉が不名誉な意味合いで使用された例も存在します。

* 孫元良（そんげんりょう）：中華民国陸軍の中将であった孫元良は、防衛作戦中に脱走したことがあり、その臆病な行為を揶揄して「飛将」と呼ばれました。この場合は、本来の意味とは異なり、皮肉を込めた表現として用いられています。

現代における「飛将」

現代中国においては、「飛将」という言葉は軍のパイロットを指す通称としても用いられています。空を駆け巡るパイロットの姿が、かつての飛将軍のイメージと重なるためでしょう。

このように、「飛将軍」または「飛将」は、時代や文脈によって様々な意味合いを持つ言葉です。基本的には勇敢な将兵を称える言葉として用いられますが、場合によっては皮肉や揶揄の意味を含むこともあります。

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