飛行館

飛行館（ひこうかん）/ 飛行会館（ひこうかいかん）について

飛行館、または飛行会館は、1929年から1970年まで東京の西新橋に存在した地上6階、地下1階建ての建物です。この建物は、当時の社団法人帝国飛行協会（後の日本航空協会の前身）の会館として建設されました。1978年には、跡地に航空会館が建設されています。

概要

飛行館は、竣工当時としては非常に大きな建物であり、5階から6階にかけて大講堂が設けられていました。この大講堂は、演劇や映画の上映など、多目的なホールとして利用されました。屋上にはさらに2階建ての建屋も存在していました。

第二次世界大戦以前から、この建物では演劇が盛んに上演され、築地座や文学座などが公演を行っていました。また、映画館として経営されていた時期もありました。

飛行館は戦災を免れたため、戦後も様々な用途で活用されました。特に、NHKは大講堂を収録スタジオとして利用し、公開収録も行っていたため、「飛行館ホール」という名前は、放送を通じて全国的に知られることとなりました。戦後も東芸、劇団青俳、新演劇研究所、新制作座、劇団四季など、数多くの劇団がここで公演を行いました。

エピソード

1931年には、来日したチャールズ・リンドバーグが飛行館を訪れており、その際の写真や資料は航空会館に保存・展示されています。
1936年の二・二六事件の際には、戒厳司令部が「勅命下る 軍旗に手向かうな 戒厳司令部」と書かれたアドバルーンを飛行館の屋上から掲げました。
1945年10月10日には、当初日比谷公園で開催予定だった「自由戦士出獄歓迎人民大会」が、雨天のため急遽飛行館に会場を変更して開催されました。

主な事務所を構えた企業

飛行館には、以下のような企業が主要な事務所を構えていたことがあります。

日本ヘリコプター輸送（全日本空輸の前身）
東映
飛行館スタジオ（サウンド・シティ (企業)の前身）

まとめ

飛行館は、戦前から戦後にかけて、演劇や映画、放送など、様々な文化活動の中心となった歴史的な建物でした。その多目的な利用と、数々のエピソードが、この建物の歴史を彩っています。

参考文献

* 井上學「1945年10月10日「政治犯釈放」」『三田学会雑誌』第105巻第4号、慶應義塾経済学会、2013年、761(239)-776(254)。  NAID 120005441222

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