飛鳥井孝太郎

飛鳥井孝太郎の生涯と業績

飛鳥井孝太郎（あすかい こうたろう）は、1867年11月28日に生まれ、1927年7月29日に亡くなった日本の実業家及び技術者です。彼は多岐にわたる業績を残し、特に陶器業界においてその名を知られる存在となりました。彼の人生を紐解くことで、当時の日本の陶磁器産業の発展の過程を見ることができます。

初期の経歴

飛鳥井は、現在の石川県加賀市大聖寺町において、旧大聖寺藩士であった父、飛鳥井清のもとに生まれました。彼は初めから技術者を志し、東京工業学校（現東京工業大学）に進学し、陶器とガラスの技術を学びました。ここでの指導教員が、後に彼の青磁の研究に大きな影響を与えた著名なドイツの陶芸家、ゴットフリード・ワグネルです。1890年に学び舎を卒業した後、同志社波理須理化学校（後の同志社大学理工学部）にて陶磁器科長兼教授という職務を任されました。

彼のキャリアは、1896年に森村組に入社することで新たな局面を迎えます。名古屋支店にて洋食器の研究開発に取り組み、さらなる技術力を磨いていきました。

ヨーロッパ留学と新たな挑戦

飛鳥井は1897年、農商務省の留学生としてヨーロッパに渡ることになります。この留学は、彼の視野を広げ、陶器づくりにおける世界的なトレンドを学ぶ貴重な機会となりました。1900年からはヨーロッパ諸国を視察し、さまざまな工芸技術やデザイン理念に触れ、自身の技術やアイデアに新たなインスピレーションを得ました。

帰国後の1904年、飛鳥井は森村市左衛門や大倉孫兵衛と共に、日本陶器（後のノリタケカンパニーリミテド）を設立し、技師長に就任しました。だが、その後の経営方針を巡る対立により、1910年には解任されるという困難な時期を迎えます。これにより、新たな道を志向することになります。

新会社の設立と革新

解任後も、彼は諦めることなく、貿易商の寺沢留四郎らと共に1911年に帝国製陶所を設立し、取締役技師長として新たなスタートを切りました。この新会社での彼は、陶器業界の新たな風を吹き込む存在となることを目指して、様々な革新的な技術やデザインに挑戦しました。

飛鳥井黄の開発

また、飛鳥井は岐阜県中津川市苗木地区にて、フェルグソン石を用いた黄色の顔料を開発しました。これを「飛鳥井黄（アスカイ黄）」と名付け、彼の技術的な業績の象徴となっています。この顔料は、日本の陶磁器において非常に重要な役割を果たし、その美しい発色から多くの支持を集めました。

まとめ

飛鳥井孝太郎は、陶磁器産業において数々の革新をもたらした実業家として、また教育者としても影響を与えた人物です。彼の生涯を通しての貢献は、現代の陶器づくりにも影響を与えており、その業績は今もなお多くの人々に評価されています。陶磁器の可能性を信じ、新しい価値を創造し続けた彼の姿勢は、後世にとっても大きな教訓となることでしょう。

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