フェルグソン石

フェルグソン石：希土類元素を含む鉱物

フェルグソン石は、様々な希土類元素を含む黒色から褐色の鉱物です。その化学組成は、一般式(Y,RE)NbO4で表されます。ここで、Yはイットリウム、REはイットリウムと固溶した他の希土類元素を表します。

イットリウムが主要な成分であるものは、イットリウムフェルグソン石と呼ばれますが、セリウムやネオジムが卓越する場合もあり、それぞれセリウムフェルグソン石、ネオジムフェルグソン石と呼ばれます。ニオブの一部がタンタルに置き換わっている場合もあります。これらの希土類元素の割合は、産出場所や条件によって変動します。

フェルグソン石は、正方晶系に属し、[灰重石]と同様の結晶構造を持ちます。しかし、微量のトリウムの放射線作用によって、結晶構造が破壊され、非晶質化するメタミクト化が起こることがあります。この現象は、フェルグソン石の物理的性質に影響を与えます。

高温型鉱物として、ベータネオジムフェルグソン石、ベータイットリウムフェルグソン石、ベータセリウムフェルグソン石などが知られています。これらは、シュツルンツ分類では4.DG.10に分類されます。これらの高温型は、通常のフェルグソン石とは異なる結晶構造や物理的性質を示します。

自然界では、花崗岩ペグマタイト中に、針状または柱状の結晶として産出されます。結晶の大きさは、数ミリメートルから数センチメートルに及びます。その色は、組成によって黒色、褐色、暗緑色など様々です。

フェルグソン石という名前は、イギリスの政治家であり、熱心な鉱物収集家でもあったロバート・ファーガソン(Robert Ferguson of Raith, 1767-1840)に由来します。本来であれば『ファーガソン石』と表記するのが正しいと考えられますが、日本では本稿にある表記が広く一般的に用いられています。

フェルグソン石は、希土類元素の重要な鉱物資源として注目されています。希土類元素は、様々なハイテク製品に用いられており、フェルグソン石はその供給源として重要な役割を果たします。そのため、フェルグソン石の産出状況や地質学的特性に関する研究は、資源開発の観点からも重要です。

また、フェルグソン石の研究は、結晶構造や放射線によるメタミクト化といった、鉱物学的な観点からも興味深いものです。今後の研究によって、フェルグソン石に関する知見がさらに深まることが期待されます。

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