飯塚敏子

飯塚敏子について

飯塚敏子（いいづか としこ）は、1914年6月8日に埼玉県で生まれ、1991年12月14日に逝去した日本の著名な女優です。本名は本間敏子であり、戦前の映画界において松竹に深く関わり、時代劇や喜劇で活躍しました。彼女のキャリアは多岐にわたり、数多くの映画で主演や助演を務め、その美貌と演技力で多くのファンを魅了しました。

来歴

飯塚は幼少期から三味線と尺八を学び、1927年には文化学院女学部に入学しますが、家庭の事情で3年後に退学。1930年に「婦人公論」の美人投票で選ばれたことがきっかけで、11月に松竹蒲田撮影所に入社しました。彼女は1931年に小津安二郎監督の『淑女と髯』で女優デビューを果たし、その後の映画作品で個性的な役柄を次々に演じました。

1931年に松竹下加茂に移籍してからは、和服や日本髪を生かした美しい姿で注目を浴び、時代劇の作品へシフトしました。特に『刀の中の父』や『女難の与右衛門』では、高田浩吉や林長二郎といった著名な俳優と共演し、その魅力を発揮しました。彼女の演技は雑誌「キネマ旬報」で高く評価され、時代劇界での地位を確立します。

奮闘とパートナーシップ

1933年には松竹で幹部に昇格し、多くの映画に出演。特に好太郎との共演が多く、1934年には結婚。その後も忙しい芸能生活を送りながら、息子を出産したものの、しばらく映画界から離れました。彼女は夫の坂東好太郎を支える存在として、映画出演は散発的になりましたが、1940年には『新月夜鴉』で再び活躍します。

戦後の活動

第2次世界大戦中は映画の制作が減少し、夫と共に「坂東好太郎一座」を結成し、各地を巡演。戦後の1949年まで活動が続きました。その他の作品に出演し続け、特に1944年の溝口健二監督『団十郎三代』では夫と共演し、多賀袖役で印象的な演技を見せます。最末期の映画出演作は1949年の大映京都での作品で、晩年には映画界を引退した後も、彼女の影響は色濃く残っています。

娘の道

飯塚敏子は1991年に逝去しましたが、その後も彼女の名声は色あせることなく、多くの映画ファンに記憶されています。彼女の活躍した時代は、まさに昭和の映画黄金期とも言えるもので、日本の映画史において重要な役割を果たした女優と言えるでしょう。彼女のキャリアや演技は、今なお新たな世代に語り継がれています。

飯塚敏子の人生は、戦前から戦後にかけての日本映画の潮流を象徴するものであり、彼女の存在は映画界における重要なピースとなっています。

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