飯山トンネル

飯山トンネルについて

飯山トンネル（いいやまトンネル）は、北陸新幹線の飯山駅と上越妙高駅を結ぶ重要な鉄道インフラです。このトンネルは全長22.251kmであり、北陸新幹線の既開業区間において最長となっており、日本全体の鉄道山岳トンネルとしても重要な位置付けを持っています。特に、東北新幹線の八甲田トンネルや岩手一戸トンネルに次いで、その長さは第3位です。

地質的な課題

飯山トンネルが建設された長野県と新潟県の境界地域は、複雑な地質構造を有しています。特に地層は幾重にも重なる褶曲構造や膨張性の泥岩など、多様な条件を呈しています。こうした地質の特性から、トンネルの施工には多くの困難が伴いました。工事が進むにつれ、想定された課題が現実となり、実際に地山の膨張やメタンガスの発生が確認されました。

地山の膨張に対応するためには、二重の支保工を採用するなどの特別な工法が導入されました。また、メタンガス対策としては、ガス抜き用のボーリング作業や送風量を増加させるなどの措置が講じられました。こうした施工技術は、新潟県内で過去に掘削された鍋立山トンネルでの経験が生かされています。特に、トンネル内の一部区間では凹型の向斜構造を掘削中に原油がにじみ出る状況が見られ、地域の geologist的特性を如実に表しています。

工区と施工

飯山トンネルの工事は、計6つの工区に分かれて実施されました。各工区ごとにそれぞれの斜坑が設けられ、工事の進捗状況に応じて交互に施工が行われました。

• - 上倉工区（3,820 m→3,066 m）
• - 富倉工区（3,800 m→4,554 m）
• - 新井工区（3,345 m）
• - 東菅沼工区（3,800 m）
• - 木成工区（3,800 m）
• - 板倉工区（3,660 m）

各工事では、大手建設会社が共同で参加し、効率的かつ安全な施工を目指しました。

崩落事故

飯山トンネルの建設中、2003年9月11日に上倉工区で大きな崩落事故が発生しました。この事故では、坑内に大量の土砂が流入し、直上の地表が陥没しました。最初の崩落は午前3時5分に発生し、その後も追加の崩落が見られました。特に、起点側坑口から約3,067mの地点で、重機が約500m押し流される被害を受けました。地表部の陥没は直径190m、深さ30mの範囲に及びました。

歴史的な経緯

飯山トンネルの起工式は、1998年3月28日に長野市と上越市間で行われ、そこから本格的な測量や設計がスタートしました。その後、各工区での掘削作業が進められ、様々な安全祈願祭が行われました。最初の工区である上倉工区の貫通式は2007年9月26日に行われ、全区間の貫通は同年12月に完了しました。2008年2月6日にはトンネル貫通式が行われ、完成を祝いました。最終的に、飯山トンネルは2015年3月14日に供用を開始し、現在も多くの鉄道通勤者や観光客が利用しています。

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