飯島魁

飯島 魁（いいじま いさお）

飯島 魁は、明治から大正の時代にかけて活躍した日本の動物学者であり、特に魚類学と鳥類学の分野で顕著な功績を残しました。1861年7月24日、浜松の藩士の家庭に生まれた彼は、東京開成学校を経て東京帝国大学に進学し、そこでモースやホイットマンに学びました。

大学卒業後、彼はドイツに留学し、ライプツィヒ大学でカール・ロイカルトの指導を受けました。この留学時期には、作家の森鷗外とも交遊があり、下宿が隣同士となるなど深い友情を育みました。1886年には帰国し、東京帝国大学の教授に任命され、以降は日本の動物学界を牽引する存在となります。

飯島の名はその豪快な性格やユニークな研究スタイルによっても知られています。特に彼は、大きなミゾサナダムシの幼虫を自ら飲み込むことで、その寄生虫がどのように感染するのかを解明したというエピソードが有名です。1903年には大阪府堺市に開館した堺水族館の設計と管理を任され、また1904年からは三崎臨海実験所の所長としての役割を担います。

彼の研究は寄生虫の感染経路の解明にとどまらず、1918年に出版された1000頁を超える「動物学提要」は、当時の動物学の総括として重要な教科書として広く用いられました。この書籍は日本における動物学の普及に大きく寄与し、彼の名前はこうした業績によって数世代にわたって記憶され続けています。

また、鳥類学にも大きな貢献を果たし、1912年には日本鳥学会を創設し、初代会長に就任しました。彼の指導の下で鳥類研究は進化し、多くの後進が育成されました。彼の功績は、現代の鳥類学の礎の一部となっています。

彼はその業績により、数多くの栄典も受けています。1900年には勲四等瑞宝章、1903年には勲三等瑞宝章、1910年には勲二等瑞宝章、また1913年には従三位を授与されています。1920年にはついに勲一等瑞宝章にも輝きました。彼の学問的貢献が公式に評価された証と言えるでしょう。

飯島の私生活についても触れると、彼の妻であるつるは、元宇和島藩士の娘であり、家族も有名な家柄でありました。娘の貞は松本源一郎の妻として、家系を引き継いでいきます。彼は1921年にこの世を去り、最後は染井霊園に埋葬されました。

飯島 魁は、動物学の分野だけでなく、多岐にわたる研究と学問活動を通じて、日本の科学界に多大な影響を与えた偉大な学者であり、今もなおその功績は語り継がれています。

もう一度検索