飯田則子

飯田則子：テレビ史を彩った音楽プロデューサーの軌跡

飯田則子（いいだのりこ、1944年 8月24日 - 2021年11月15日）は、日本の音楽業界において、多岐にわたる才能を発揮したプロデューサーです。株式会社マイピクセル、株式会社ディーピーエヌ、株式会社ユニバァーサル音楽出版などの代表取締役を歴任し、音楽、イベント、企画制作の分野で大きな足跡を残しました。

若き日の才能開花

埼玉県浦和市（現さいたま市）出身の飯田は、埼玉県立浦和第一女子高等学校、学校法人池坊学園師範科を卒業後、タレントとしてキャリアをスタートさせました。日本テレビ系列の『踊って歌って大合戦』での司会アシスタントや、サントリーレッドのCM出演などを経て、「劇団仲間」に研究生として所属。その後、博報堂に勤務し、『小川宏ショー』での東芝提供の生CMを担当するなど、早くからその才能を発揮しました。

日本テレビ音楽での飛躍

1967年、日本テレビ放送網株式会社にアルバイトとして入社し、芸能局演出第4部で『どんとこい、天才!』などの番組のアシスタントディレクターを務めます。1969年には、日本テレビ音楽株式会社の創立と同時に入社。『スター誕生!』関連歌手のレコードプロデュースや、ドラマ『太陽にほえろ!』、『探偵物語』、『火曜サスペンス劇場』などの主題歌、背景音楽のプロデュースを手がけました。作編曲家の大野雄二、作詞家阿久悠といった、当時の第一線で活躍するクリエイターたちと共に、数多くの名作を世に送り出しました。

独立後の活躍

1983年に日本テレビ音楽を退社後、飯田は株式会社ライトリンクスコーポレーションを設立し取締役に就任。映画製作を行うフィルムリンク（現在のフィルムリンク・インターナショナル）と連携し、音楽制作を担当しました。また、株式会社ライトジャパンを創立し、代表取締役として森高千里、KAN、桃井かおりなどのマネージメント業務を開始。バップ、ビクター音楽産業、東芝EMI、CBS・ソニー、ポニーキャニオンといったレコード会社で契約プロデューサーとしても活動しました。ピア・ザドラのアジア地域マネージャーを2年間務め、東京音楽祭での金賞受賞にも貢献。欧米と日本を往復しながら、幅広いビジネスを手がけました。

1988年、ライトリンクスコーポレーションを売却後、株式会社ソーラーカンパニーの取締役としてテレビ番組の音楽制作やオリジナルビデオの製作協力に携わります。また、株式会社スペースプロデュースにおいて空間プロデュースを行う傍ら、IWS国際羊毛事務局の『メリノジャパン』の企画製作協力も手がけ、その活動範囲を広げていきました。1990年代には、『結婚』、『レッスン LESSON』などの映画・オリジナルビデオの音楽プロデュースを担当し、1998年には映画『プライド・運命の瞬間』の音楽プロデュース、宣伝プロデュースを手がけました。この頃は、映画プロデューサーの中川完治が手掛ける作品の多くで音楽プロデューサーとして起用されています。

ネット事業への参入と晩年

2000年、飯田は株式会社マイピクセルの代表取締役に就任し、携帯、インターネット配信事業に参入。2001年には株式会社デジタル･パブリッシング・ネットワークス（現在の株式会社ディーピーエヌ）の代表取締役にも就任しました。2007年にはディーピーエヌに芸能事業部を設立し、アーティストのマネージメント業務も再開しました。

2021年11月15日、飯田は東京都中央区の自宅で急逝。77歳でした。生涯独身であり、その功績は音楽業界に深く刻まれています。

飯田則子のエピソード

飯田則子の功績は、既成概念にとらわれない自由な発想と、音楽に対する深い愛情に支えられています。『火曜サスペンス劇場』のテーマ曲「聖母たちのララバイ」は、ドラマの枠を超えて大ヒットし、番組のイメージを決定づけました。中村雅俊を『われら青春!』の主演に抜擢し、主題歌を歌わせるという戦略も、新たなスターの誕生に貢献しました。

株式会社ユニバァーサル音楽出版の代表取締役でありながら、音楽著作権管理者養成講座を修了するなど、常に学び続ける姿勢も持ち合わせていました。熱気球を使った企画を成功させたり、デビュー前の森高千里を下宿させたりするなど、ユニークなエピソードも数多く残っています。

カラオケが嫌いだったという飯田。それは、自分が関わった楽曲を耳にするたびに反省点ばかりが浮かんでしまうからでした。しかし、その真摯な姿勢こそが、数々の名作を生み出した原動力だったと言えるでしょう。美味しいものに対する並外れたアンテナを持ち、食いしん坊としても知られていました。

飯田則子の遺産

飯田則子が手がけた作品は、テレビドラマ、映画、アニメ、CMなど多岐にわたり、その才能は音楽業界にとどまらず、広く社会に影響を与えました。彼女の革新的なアイデアと情熱は、これからも多くの人々にインスピレーションを与え続けるでしょう。

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