飯田房太郎

飯田房太郎は、1906年（明治39年）8月7日に神奈川県に生まれ、1975年（昭和50年）5月8日に生涯を閉じました。彼は昭和時代を代表する土木工学者であり、実業家としてもその手腕を発揮しました。

1930年（昭和5年）に東京帝国大学工学部土木工学科を卒業後、飯田は間組に入社しました。そこで彼は、各出張所の次長、土木部の次長、取締役、常務、そして専務と、着実にキャリアを積み重ねていきました。1967年（昭和42年）には副社長に、そして1969年（昭和44年）には社長に就任し、経営者としての能力も高く評価されました。

飯田が携わった主なプロジェクトには、大井川千頭堰堤や久野脇発電所の建設、羽田飛行場の拡張工事などがあります。特に1952年（昭和27年）から始まった大井川水系の開発では、井川ダム、奥泉ダム、畑薙ダム（第一、第二）といった大規模なダム建設を次々と成功させました。これらのプロジェクトを通じて、飯田は日本のインフラ整備に大きく貢献しました。

また、飯田は業界団体においても重要な役割を担いました。日本土木工業協会、日本建設業連合会、日本経済団体連合会、海外建設協会などの理事を歴任し、さらに日本建設機械化協会と土木学会では会長を務めました。これらの活動を通じて、彼は土木工学の発展と業界全体の向上に尽力しました。

その功績が認められ、飯田は従四位の位階を授けられ、藍綬褒章、そして死後には勲二等瑞宝章が贈られました。これらの栄典は、彼の業績がいかに社会的に高く評価されていたかを物語っています。

飯田房太郎は、土木工学者、実業家、そして業界のリーダーとして、日本の発展に多大な貢献をしました。彼の情熱と技術力は、後世に語り継がれるべきでしょう。

*参考文献：高橋裕、藤井肇男 共著『近代日本土木人物事典: 国土を築いた人々』鹿島出版会、2013年。ISBN 4306094294。

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