飯田隆昭

飯田隆昭：アメリカ文学と翻訳の世界

飯田隆昭（いいだ たかあき、1936年1月15日 - 2019年5月12日）は、日本の英文学者、翻訳家であり、特にアメリカ文学、とりわけ20世紀の詩を専門としていました。三重大学名誉教授、大東文化大学名誉教授という肩書きを持ち、後進の育成にも尽力しました。

生涯と業績

飯田隆昭は東京で生まれ、早稲田大学大学院修士課程を修了しました。その後、三重大学で助教授、教授を歴任し、2001年に定年退官。三重大学名誉教授となりました。その後、大東文化大学教授に就任し、2006年に定年退任、大東文化大学名誉教授となりました。

飯田の専門は、米国20世紀の詩でした。研究者として活動する傍ら、ウィリアム・S・バロウズやフィリップ・K・ディックなど、前衛的な文学作品やSF作品の翻訳も積極的に行いました。これらの翻訳は、新たな読者を獲得するきっかけとなった一方で、その翻訳スタイルを巡っては議論も存在しました。山形浩生は飯田の翻訳を批判し、飯田訳作品の改訳も行っています。

2019年5月12日、飯田隆昭は肺がんのため東京都中野区の病院で死去しました。83歳でした。

翻訳作品

飯田隆昭は、数多くの翻訳を手がけました。以下に主な翻訳作品をリストアップします。

E・E・カミングス『巨大な部屋』（1963年）
ウィンダム・ルイス『ブルジョワ・ボヘミアンたち』（1966年）
ラッセル・トレイナー『ロリータ・コンプレックス』（1969年）
トム・ウルフ『クール・クールLSD交感テスト』（1971年）
テッド・オールビュリー『大統領の心を持つ男』（1980年）
イアン・ワトスン『ヨナ・キット』（1986年）
フランシス・キング『フローズン・ミュージック』（1991年）
J・G・バラード『ウォー・フィーバー 戦争熱』（1992年、のち改題『第三次世界大戦秘史』）
バリー・マイルス『ウィリアム・バロウズ 視えない男』（1993年）
ポール・ボウルズ『雨は降るがままにせよ』（1994年）
イシュメール・リード『ループ・ガルー・キッドの逆襲』（1994年）
スウェイン・ウルフ『叶えられた祈り』（1998年）
バーニー・ホスキンズ『ダイヤモンド・スカイのもとに サンフランシスコ - ヘイト・アッシュベリー 1965 - 1970』（2002年）
ウィリアム・カーロス・ウィリアムズ『農家の娘』（2003年）
ハンター・S・トンプソン『ヘルズ・エンジェルズ 地獄の天使たち 異様で恐ろしいサガ』（2010年）
バートン・H・ウルフ『ザ・ヒッピー フラワー・チルドレンの反抗と挫折』（2012年）
ウィリアム・カーロス・ウィリアムズ『オールド・ドクター ウィリアム・カーロス・ウィリアムズ短編集成』（2015年）
ウィリアム・S・バロウズ、アレン・ギンズバーグ『麻薬書簡』（諏訪優共訳、1966年）
ウィリアム・S・バロウズ『爆発した切符』（1979年）
ウィリアム・S・バロウズ『シティーズ・オブ・ザ・レッド・ナイト』（1988年）
ウィリアム・S・バロウズ『デッド・ロード』（1990年）
ウィリアム・S・バロウズ『ウエスタン・ランド』（1991年）
ウィリアム・S・バロウズ『ア・プークイズヒア』（1992年）
フィリップ・K・ディック『死の迷宮』（1979年）
フィリップ・K・ディック『暗闇のスキャナー』（1980年）
フィリップ・K・ディック『戦争が終り、世界の終りが始まった』（1985年）
フィリップ・K・ディック『小さな場所で大騒ぎ』（1986年）
フィリップ・K・ディック『フィリップ・K・ディックのすべて ノンフィクション集成』（ローレンス・スーチン編、1997年）

参考文献

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4336054533.html
飯田隆昭教授略歴 (飯田隆昭教授 退任記念号) 大東文化大学英米文学論叢 2006-03

飯田隆昭は、アメリカ文学の研究と翻訳を通じて、日本の文学界に多大な貢献をしました。彼の業績は、今後も長く語り継がれることでしょう。

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