E・E・カミングス

E.E.カミングス：生涯と作品

エドワード・エスリン・カミングス（Edward Estlin Cummings, 1894年10月14日 – 1962年9月3日）は、E.E.カミングスの名で知られるアメリカの詩人、画家、随筆家、劇作家です。900篇以上の詩に加え、小説、戯曲、絵画など多岐にわたる分野で才能を発揮しました。

生い立ちと教育

1894年、マサチューセッツ州ケンブリッジで、ハーバード大学教授で後にユニテリアン主義の聖職者となった父と、教養ある母のもとに生まれました。幼少期から詩作を始め、ハーバード大学では古典と英語を修めました。大学時代には、ジョン・ドス・パソスらと親交を深め、学内誌に詩を発表するなど、文才を開花させました。

第一次世界大戦と転機

1917年、救急隊員として第一次世界大戦に従軍しますが、反戦的な言動が原因でスパイ容疑をかけられ、拘留されます。この体験は、彼の作風に大きな影響を与え、小説『巨大な部屋』の執筆へと繋がりました。父親の尽力で釈放後、アメリカ陸軍に徴兵され、終戦を迎えます。

文学活動

1920年代からパリとニューヨークを拠点に、詩作、絵画制作、エッセイ執筆など、精力的に活動を展開します。ガートルード・スタインやエズラ・パウンドなど、モダニズム[[文学]]の巨匠たちからの影響を受けつつ、独自のスタイルを確立しました。ソビエト連邦への旅行体験を基にした『Eimi』や、『バニティ・フェア』誌への寄稿など、幅広いジャンルで作品を発表しました。

作風とテーマ

カミングスの詩は、型破りな文法、句読点の使用、視覚的な表現が特徴です。伝統的な詩形であるソネットも用いながら、愛、自然、個と全体の関係といった普遍的なテーマを扱いました。また、社会風刺やユーモアも作品に取り入れ、独自の詩世界を構築しました。その革新的なスタイルは、ダダイスムやシュルレアリスムの影響も受けています。

結婚と家族

カミングスは3度の結婚を経験し、最初の妻との間に娘をもうけました。娘とは長年会うことができませんでしたが、晩年に再会を果たし、その経験が作品に影響を与えました。

後期と死

1952年、母校ハーバード大学で客員教授を務め、講義録『i: six nonlectures』を出版しました。晩年は、旅行やセミナー、ニューハンプシャー州の別荘での生活を楽しみました。1962年、脳卒中のため67歳で死去し、ボストンの墓地に埋葬されました。

作品の特徴

型破りなスタイル: 大文字と小文字の区別を無視した表記、句読点の独特な使用、単語の配置など、視覚的にも斬新な表現を追求しました。
ロマンティックなテーマ: 愛、自然、生と死など、普遍的なテーマを独自の視点で描きました。
社会風刺とユーモア: 社会に対する批判精神とユーモアのセンスを織り交ぜ、読者に新たな視点を提供しました。

主要作品

小説: 『巨大な部屋』
詩集: 『チューリップと煙突』, 『ViVa』, 『No Thanks』, 『Xaipe: Seventy-One Poems』, 『95 Poems』
戯曲: 『HIM』, 『Santa Claus: A Morality』

影響と評価

E.E.カミングスは、20世紀アメリカ文学において、独自の地位を確立しました。その革新的なスタイルと自由な精神は、後の世代の詩人たちに大きな影響を与えました。彼の作品は、今もなお世界中の読者に愛され続けています。

名前表記について

E.E. Cummingsの名前は、しばしば小文字で「e. e. cummings」と表記されますが、本人は大文字表記も使用していました。出版社の意向やスタイルの反映として小文字表記が広まりましたが、カミングス自身はどちらの表記にもこだわりを持っていたようです。

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