飯米獲得人民大会

飯米獲得人民大会

飯米獲得人民大会（はんまいかくとくじんみんたいかい）は、1946年5月19日に東京都麹町区の宮城前広場で開催された集会であり、日本国政府による食糧配給の遅延に抗議するものでした。この集会は「食糧メーデー」とも呼ばれ、当日は最大で25万人が集まり、社会主義運動の高まりを背景にしています。

背景

大会の開催は、太平洋戦争の敗戦によって食糧事情が悪化したことに起因しています。多くの労働力が出兵した結果、農業生産が落ち込む一方、流通経路も破壊されました。さらに前年の台風による収穫への影響が加わり、国の食糧配給が著しく遅延していました。この影響で、多くの人々が闇市で食糧を求めることになり、需要が高まったことで価格は暴騰し、特に都市部では深刻な事態が続いていました。

配給が少なくなり、東京では10日に一度の配給が一般的な状態となり各地で「米よこせ大会」が頻発する状況にあったのです。一方、1945年10月に未成年者たちが共産主義者として釈放されたことにより、日本共産党が再結成され、多くの支持者を得ていました。これに加えて社会党も支持を拡大し、社会の中での社会主義運動の高まりが感じられました。

また、この時期には日本の農業に関する問題も残されていました。日本の人口に見合う食糧生産が不十分であり、戦前は外地からの輸入に頼っていたため、復員による人口増加が供給不足を助長する結果になっていました。

大会開催の様子

1946年5月19日、宮城前広場に集まった25万人は、労働者や主婦の代表として参加者の声を挙げ、劣悪な食糧事情を訴えました。労働者代表の挨拶に続き、主婦代表が担いでいる子供を見せながら厳しい状況を訴えました。その後、参加者はデモ行進に移り、集団は3つに分かれて行動しました。

聴濤克巳などの代表が昭和天皇への面会を求め、宮内省の犬山宮内省総務課長に上奏文を渡しました。一方で、別の集団は総理大臣官邸で吉田茂内閣総理大臣への面会を求め、座り込みを行ったものの、吉田は東京大学から農林大臣を選ぼうとしましたが、それも拒否されました。このように、政府内でも食糧問題の解決が難しい状況でした。

GHQの声明とその影響

集会の翌日、GHQのダグラス・マッカーサーは声明を発表し、集会を「組織的な暴力」とみなして警告しました。このGHQの対応によって、労働運動は大きな影響を受け、以降の民衆運動が萎縮する結果となりました。

行動後に昭和天皇は国民に向けた「おことば」をラジオで放送し、国民が協力しあうことの重要性を訴えました。しかし、天皇のメッセージは模範的なものであり、受け手には新しさを感じさせるものではありませんでした。

プラカード事件

この大会でのプラカード事件が発生します。共産党員の松島松太郎が天皇を揶揄するプラカードを掲げたことで逮捕される事態が起こりました。GHQはこの件を重くみて政府に圧力をかけ、名誉毀損罪での訴追に変更が行われました。松島はその後、恩赦を受けて釈放されたものの、控訴を続けました。

評価

この大会は日本の食糧問題と労働運動の連携を象徴する出来事として重要視されています。多くの負担を抱える市民が立ち上がり、政府に対して強い意思を示したという意味合いがあります。このような形での抗議運動が天皇に意見を上奏する形となっている点については、後の評価にも影響を与えました。米国の視点も影響しており、マッカーサーが社会運動への抑制を図ったことは、当時の日本の社会情勢に大きな波紋を呼びました。これにより、今後の政治と〒な民衆運動との関係が変わる可能性をはらんでいます。

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