聴濤克巳

聴濤克巳の生涯とその影響

聴濤克巳（きくなみ かつみ、1904年1月11日 - 1965年8月30日）は、日本のジャーナリストであり、労働運動の先駆者として知られています。彼は香川県で生まれ、関西学院大学を卒業後に朝日新聞社に入社し、記者としてのキャリアをスタートさせました。朝日新聞の中では論説委員などを歴任し、独自の視点でニュースを報道することに努めました。

ジャーナリストとしての活動

聴濤は戦後、日本共産党に入党し、労働組合の活動にも力を注ぎました。特に1945年には、朝日新聞労働組合の初代委員長に就任し、記者としてだけでなく、労働者の権利を守るために声を上げることに尽力しました。1946年には全日本新聞通信労働組合の初代委員長と、全日本産業別労働組合会議の議長に就任し、国内の新聞労働者の結束を図りました。

二・一ゼネストでの役割

聴濤は二・一ゼネストにおいて、伊井弥四郎と共に最高責任者の一人となりました。このゼネストは、労働者の権利を求める大規模な抗議行動であり、多くの労働者が参加しましたが、彼は1947年1月20日に右翼団体による襲撃を受け、全治1ヶ月の重傷を負いました。この経験は、彼の心身に大きな影響を与え、さらなる闘争心を引き起こすことになりました。

政治活動とその後

1949年の第24回衆議院議員総選挙では、日本共産党から衆議院議員に当選しました。しかし、翌年のレッドパージにより、公職から追放されることになりました。この出来事は、聴濤にとって大きな転機であり、中国に渡って北京機関のメンバーとなり、自由日本放送の業務に従事しました。また、日本共産党の代表としてヨーロッパで活動するなど、国内外での政治的な活動を続けました。

帰国後の活動と評価

1958年に日本に帰国した後は、アカハタ編集局長や党の幹部会員、書記局員として再び多忙な日々を送りました。特に1964年の春闘では、公共企業体等労働組合協議会（公労協）の4.17ゼネストを「挑発行為」と批判する姿勢を見せましたが、その結果として指導責任を問われ自己批判し、中央委員に降格されるという厳しい現実にも直面しました。

著作とその意義

聴濤は『労働組合論』という著書を1948年に発表し、労働組合の重要性や役割について論じています。彼の著作は、後の世代における労働運動の理解や指導に影響を与え、価値ある資料として評価されています。

彼の遺産

聴濤克巳は、政治、メディア、労働運動の交差点で活躍した人物であり、その影響は今日の労働運動にも色濃く残っています。彼の活動を通じて、労働者の権利や社会正義というテーマが大きく前進したと言えるでしょう。彼の息子である聴濤弘もまた、政治家としての道を歩み、父の意志を受け継ぐ形で活躍しています。

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