飯羽間城

飯羽間城について

飯羽間城は、現在の岐阜県恵那市岩村町飯羽間に位置していた日本の城です。鎌倉時代から戦国時代にかけて、この地域を支配した遠山氏の一族、飯羽間遠山氏の本拠地として重要な役割を果たしました。遠山氏の多くの支城の中でも、岩村城に最も近い場所に築かれ、防衛の最前線としてその重要性は際立っていました。

城の構造

飯羽間城は、山中に築かれた平山城でありながら、梯郭式と連郭式という二つの築城様式を併せ持つ珍しい構造をしています。城の中心となる一の曲輪を最も高い場所に置き、その下に二の曲輪、三の曲輪と続き、帯曲輪や出曲輪なども備えていました。さらに、物見台が多数配置されており、周辺地域への警戒を怠らない構造であったことがうかがえます。

築城時期

築城時期は、鎌倉時代中期頃と推定されています。しかし、具体的に遠山氏の誰が築城を命じたのかは、詳しい記録が残っておらず、不明です。

歴史

飯羽間城は、天正2年（1574年）に武田勝頼の軍勢によって攻撃され、落城しました（飯羽間城の戦い）。この戦いにより、城は破壊され、現在は城跡のみが残る状態です。

現在の様子

現在、城跡の一部は崩落しており、二つあった登城口のうち一つが通行止めになっています。一の曲輪跡には、飯羽間城で戦死した兵士たちを供養するための「飯羽間城諸将士十三界萬霊塔」が建立されています。また、崖下の低地部には「史蹟飯峡城址之碑」という城址碑が建てられています。

出土品

飯羽間城の城跡付近からは、二十六間筋兜が発掘されました。この兜は、縦長の梯形鉄板を26枚張り合わせたもので、実戦向きの構造をしています。南北朝時代の武将が使用していたとされ、飯羽間城主が着用していたものと推定されています。この兜の発見により、飯羽間城の築城時期は鎌倉時代中期から末期にかけてと推測されています。

姫塚の伝説

上飯羽間の上平街道の傍らには、姫塚と呼ばれる墳墓があります。天正2年の飯羽間城攻防戦の際、飯羽間城主遠山友信の娘がこの地に隠れていたと伝えられています。里人たちは彼女を保護しましたが、間もなく亡くなったため、この場所に葬ったとされています。この伝承は、戦乱の中で犠牲になった人々の悲劇を今に伝えています。

信の城

飯羽間城の北東約600mの場所には、信の城という別の城郭が存在していました。この城の城主は、神篦城主の子である信友市之丞（延友信光の一族）であったと記録されています。

交通アクセス

鉄道: 明知鉄道極楽駅で下車後、徒歩約20分。
自動車: 中央自動車道恵那インターチェンジから車で約20分。

関連事項

飯羽間城の戦い
岩村城の戦い
明知城の戦い
上村合戦
* 日本の城一覧

飯羽間城は、その歴史と構造、そして出土品から、当時の武士の生活や戦乱の様子を今に伝える貴重な史跡です。

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