飾磨駅 (国鉄)

飾磨駅：播但線の歴史を刻んだ駅

兵庫県姫路市飾磨区細江に存在した飾磨駅は、国鉄播但線に属する駅として、明治30年（1897年）11月21日に播但鉄道天神駅として開業しました。当初は一般駅として旅客と貨物の両方を扱い、その後、山陽鉄道を経て国有化、そして1909年には線路名称制定により播但線の駅となりました。

1915年（大正4年）9月21日には、現在の駅名である「飾磨駅」に改称されました。その後、昭和16年（1941年）7月1日には、新日本製鐵広畑製鐵所への専用鉄道（2.6km）が開業。鉄鋼製品や石灰石の輸送を担い、駅の重要な役割の一つとなりました。

駅構造は島式ホーム1面2線を持つ地上駅で、多くの側線を備えていました。駅舎はホームの東側、線路を渡った先に位置し、その北側には有蓋車用の貨物ホームが設けられていました。廃止されるまで駅員が配置されていましたが、晩年は1日2往復のみの旅客列車しか運行されていませんでした。

播但線が南北に走る中、飾磨駅から南西方向には新日本製鐵広畑製鐵所へと続く専用鉄道が分岐していました。この専用鉄道は、鉄鋼製品や石灰石の輸送に利用され、地域の産業を支える重要なインフラとして機能していました。

昭和57年（1982年）11月15日には、専用鉄道発着を除く車扱貨物の取扱いが廃止され、貨物ホームは使用されなくなりました。さらに、昭和59年（1984年）2月1日にはチッキの取扱いが廃止され、昭和61年（1986年）11月1日には、飾磨駅は廃止されました。同時に、新日本製鐵広畑製鐵所への専用鉄道も廃止となりました。

飾磨駅の周辺には、JA兵庫西飾磨ライスセンターや国道250号、そして敷島紡績飾磨工場（現在のイオンモール姫路リバーシティー）などがありました。山陽電気鉄道の飾磨駅とは1キロメートル以上の距離がありました。

飾磨駅の隣の駅は、北側に亀山駅、南側に飾磨港駅でした。飾磨駅の廃止は、時代の流れとともに地域産業の変化や交通事情の変化を反映した結果と言えるでしょう。かつては地域の重要な交通拠点として機能していた飾磨駅は、今ではその歴史を偲ぶ名前に変わっています。その歴史的背景を理解することは、地域の変遷を知る上で重要な要素と言えるでしょう。

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